受賞作品発表 お題「こころあたたまる食事」

最優秀賞1句、優秀賞5句、ユニセフ賞1句、NIPPN賞1句

第3回目となる川柳コンクールには、2,148名の皆さまより3,401句の作品が寄せられました。

NIPPNはユニセフを支援しています。

今回の、「こころあたたまる食事」というお題には、愛情や幸せな思い出がたくさん込められたすてきな作品ばかりでした。
日本製粉が、1作品あたり10円、合計34,010円を、日本ユニセフ協会に寄付します。ご協力ありがとうございました。

最優秀賞

好物に 同時に手がのび 譲り合う ひとみん 愛知県江南市 三十歳
作品の説明
家族、友人などとの食事の際、大皿に盛られた好物に同じタイミングで手をのばす。自分の好物だからと独り占めしようとせず、どうぞどうぞと譲り合う。互いの思いやりを感じ、心あたたまる食事ができそう。
選評
鍋料理でもしているのでしょうか、一家団欒のようすが目に浮かぶような作品で、「譲り合う」に食を通しての家族の温もりが伝わってきます。

優秀賞

就活の 傷心癒す 母の味 うらら 埼玉県所沢市 六十四歳
作品の説明
なかなか決まらない就職活動で疲れて帰る息子に温かな励ましの言葉とおいしい食事で待つ母の愛がうれしい。
選評
厳しい就職状況の中で、自信を失いかけている子を思い、母が心を込めて作った手料理、大きな母親の愛情とそれをうけとめている子どもの心の通い合いが感じ取れる作品です。
母乳飲む 我が子守ると 胸に決め ワル酔い 大分県大分市 三十六歳
作品の説明
初めて息子に母乳を与えた時、この子に今一番必要なものである母乳が自分の中から溢れ出てくるという感動と喜びと奇跡を感じました。
母は私が生まれた瞬間からこうやって今まで私を守ってきてくれたのだと知り、有難い気持ちでいっぱいになりました。
私もこれからこの子を、母がしてくれたように一生守っていこうと心から思いました。
選評
初産の母親でしょうか。胸に抱き、母乳を飲んでくれる我が子を、かぎりなく愛おしく思っているようすが目に浮かぶ作品です。赤ちゃんが生まれおち、最初の食は母乳であることを改めて知らされました。
一周忌 娘の料理 亡妻(つま)の味 まことちゃん 北海道札幌市 六十二歳
作品の説明
一周忌で帰ってきてくれた娘が作ってくれた食事、亡き妻の私好みの味がそのままでした。
選評
「妻を亡くして1年がたった。娘さんの手料理に、そこはかとなく妻の味を感じ取ることができた。」妻に先立たれた夫の哀愁が漂う作品です。「娘の料理」に新たな人生の喜びも予感させます。
新メニュー 家族が審査で 定番へ ころろ 宮城県名取市 二十八歳
作品の説明
新しいメニューを作って家族に審査してもらいます。美味しいと言われたら、わが家の定番メニューに仲間入りなんです。いつでも楽しく料理が出来て嬉しいです。
選評
母親でしょうか、新しい料理をおぼえ、家族に食べてもらうと、みんなが「美味しい」と言ってくれ、家庭の料理となっていった。そんな仲の良い家族の様子が、浮かんでくるほのぼのとした温かさにみちた作品です。
試験の日 好物ばかりが 詰まってる コカブ 東京都板橋区 三十歳
作品の説明
私が高校を受験した時に母親が作ってくれたお弁当。
メインのおかずから付け合わせのおかず、おつけものといった小さなものまで私の好物ばかり詰まっていたのにはこころが温まりました。
誰かに好物を覚えていてもらって、作ってもらえる。あの時より今その幸せが分かりました。
選評
「緊張して入試に臨んだ子ども、午前中の試験を終えた、昼休み弁当を開くと、好物が詰まっている。」母の子への思い、そしてその思いを受け止めている子どもとの心の交流がしみじみと共感をよびます。

ユニセフ賞

アフリカの 子どもの話に 箸止まる 雀喜 栃木県宇都宮市 四十七歳
作品の説明
食事時、「アフリカの子供がまともな食事が出来ない」そんな会話に、我が子をはじめ家族の食事が進まなくなった。
選評
飽食の国、日本にすんでいる私たちが、心すべきことを示す作品。世界には飢餓で苦しむ子どもたちがいることを想起させます。川柳としても、一瞬を描きながら、大きな世界をも視野に入れた秀作です。

NIPPN賞

おいしいと ほっぺ押さえる もみじの手 にーにゃん 新潟県新潟市 二十七歳
作品の説明
ゆとりのある楽しい食事の時間は心から美味しいと食べることができます。小さな手が美味しくてほっぺが落ちないように押さえながら食べる微笑ましい風景です。
選評
幼子が、美味と感じた食べ物を食し、小さな手の平でほっぺをおさえる。それを見る、周囲の人々も笑顔いっぱいなことでしょう。食がいかに人々に幸福をもたらすかを表現した優れた作品です。

総評「NIPPN世界の子ども支援企画川柳コンクール」

写真 目白大学人間学部学部長 教授 日本学校教育学会会長 多田孝志

目白大学人間学部学部長・教授 日本学校教育学会会長 多田孝志

本年度は、昨年を上回る応募数があり、また学校単位での応募や、さまざまな年代の方々の参加を得て、本コンクールの広がりが実感されました。
本年度のNIPPN「世界の子ども支援企画」川柳コンクールには、3,401作品の応募があり、川柳の識者4名による、一次審査、二次審査をへて59作品が最終審査に選出されました。
受賞の候補となった作品は、食をテーマとし、人間の生活や世界の出来事を、ときに鋭く、とき優しく、また遊び心をもち、川柳の特質である、「穿ち」「おかしみ」「軽み」を感得させつつ、うたい上げている質の高い作品群でした。多数の優れた候補作があり、最終審査での優秀作品の選出は難しものでしたが、最終的に、審査員の総意により、当選作品を決定しました。
本コンクールに応募された作品は、食育教育、国際理解教育などの優れた学習材ともなります。これらの作品を活用した多様な教育活動が、今後展開されることを期待しています。