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武田 正浩

vol.82


PROFILE

森ビル株式会社
環境推進室 主査
技術士(衛生工学部門)

現在の会社での経歴と担当している主な活動

東京理科大学大学院理工学研究課機械工学専攻修了。 1992年(株)間組入社後、一貫して設備設計監理業務に従事。 2000年森ビル(株)入社。設備設計部にてオフィスビル等の設備設計・監理に携わる。主なプロジェクトは「六本木ヒルズゲートタワー」「プルデンシャルタワー」 「オランダヒルズ森タワー」「虎ノ門・六本木地区再開発計画」など。 2008年に環境推進室に異動し現在に至る。 この間(社)不動産協会環境自主行動計画見直しWG、(財)省エネルギーセンター「業務用ビルの省エネ推進委員会」等の外部委員を歴任。

趣味

休日に仲間と楽しむバスケットボール。終わった後体育館から場所を移し、ワイワイやるのがまた楽しい。

好きな国or行ってみたい国

建造物を見にヨーロッパに行きたい。環境分野での取り組みが進んでいる北欧には特に興味がある。

影響を受けた人、尊敬する人、目標にする人

森稔社長。森社長は、座右の銘である武者小路実篤の言葉で、「龍になれ、雲、おのずから集まる」(志を高く持ち続ければ、その姿に、いずれ人々は理解、賛同するようになる。)を常日頃から口にしているが、まさにその言葉が示すような、信念の人だと思う。

一番大事にしているもの

家族や仲間と過ごす時間


武田さんが描く、理想的な社会とはどんな社会ですか?

無理をしたり、とりたてて意識をせずに普通に生活をしていても、地球環境に負荷を与えることのない暮らし。そんな暮らしを実現できれば理想的だと思います。ITだと“ユビキタス”と表現される世界です。また、仕事、家庭、文化など生活していく上で必要な要素が揃っていて、なおかつそこにコミュニティがある街づくりができればと思います。両方とも私たちが開発を行う際のテーマにもなっており、例えば、六本木ヒルズでは、大規模なコージェネレーションシステムにより、電力を自家供給しています。

ガスで発電し、その際の排熱を地域冷房に利用することで、使用するエネルギーを減らし、CO2の削減も実現しています。コミュニティという点では、緑を中心に人が集える空間を用意し、そこで市民参加型のガーデニングを開催するなど、地域に働く人、暮らす人の交流が生まれる場を提供しています。

どうすれば、この理想的な社会を築いていけると思いますか?

まず、技術革新が不可欠だと思います。それには政府の後押しも必要です。今や地球温暖化を疑う余地は残されてはいないはずなので、官民一体となり思い切ったことをしなくてはいけません。COP(気候変動枠組条約締約国会議)では、日本に是非ともリーダシップを発揮してもらいたいですし、もちろん国内でも政治家に大なたを振るってもらいたい。そのような政治家には私も有権者として投票したいです。総合ディベロッパーとしての視点でお話しするなら、第一に、開発=悪のような概念を何とか変革したい。良き開発は、人々の暮らしも、都市の環境性能も向上させるのです。東京などはむしろそうした再開発を急がなくてはならないと、私たちは危機感を募らせています。加速するヒートアイランド現象が問題になっていますが、建物を高層・集約化して周囲にオープンスペースを確保し、そこを緑化することで緩和することができます。東京は他の先進諸国の大都市と比較して、このオープンスペースが少なすぎます。

森ビルが標榜する「Vertical Garden City−立体的な緑園都市」の先導的なプロジェクトとなったアークヒルズには、現在樹木が約40,000本、花木が約12,700本も育っています。1986年のオープン時に植樹した桜の木は、幹の太さの平均が1mを超すほどに成長しています。そこには、ヒートアイランド現象を防いだりCO2を吸収する働きだけではなく、人々の活力や、安らぎとしての「都市の森」ができました。年月が木々を育て、美しい憩の場を形成したのです。建物も、それを含めた環境も、美しく機能的であれば長く愛され続けるものです。日本では、長年、スクラップアンドビルドが批判の的になってきましたが、年月を経ると美しさが損なわれるだけのビルをつくるから壊してしまいたくなるのであって、例えばパリの街のように美しければ、そんなことは誰も考えないでしょう。日本では、壊して新しいものを作ることを繰り返すことで、街並みもつぎはぎになり、よけいに美しくなくなる悪循環です。人のために、環境のために、考え抜かれた再開発、都市の再構築が急務なのです。

今の仕事をしていく上での喜びと、逆に難しい点は?

計画したプロジェクトが現実のものとなり、お客様に喜んでもらえるときの喜びは何にも変えがたいですね。逆に、そこに至るまでは困難の連続と言えます。大きな再開発においては、当然それだけハードルが高くなり、長い時間を要することになります。

土地のとりまとめに時間がかかるのは致しかたないにしても、種々の手続きにも時間を要し、着工までに10年以上かかることも珍しくありません。前述のアークヒルズでは14年かかっています。再開発が急務と言いましたが、その意味でも、行政の後押しがあってほしいという思いが強いですね。

今の仕事を始めてから体験した印象的なエピソードはありますか?

大規模なCO2排出事業所に対する総量削減義務を課すなど、温暖化対策を強化した東京都の条例改正の際、私たちの施設における取り組みがNHKで取り上げられました。私も取材を受けましたが、驚いたのは、放映後の反響です。

ものすごい数の問い合わせがあり、メディアの力を思い知ることとなりました。ほとんどはいわゆる売り込みで、中にはちょっと興味深いものもありましたが、そうではないもののほうがはるかに多くて閉口しました(笑)。

担当者になってから、自分の意識や生活の中で変わったことはありますか?

ゴミの分別、こまめな消灯、白熱灯から蛍光灯への切り替え・・・そんなことと言われそうですが、今振り返ると以前はちゃんとできていなかった。私はエンジニアなので、技術を用いて大きなところからエネルギーを削減するような話にばかり興味がいっていました。

担当になって改めて、それがすべてではないと思い直し、身近なところも気をつけるようになりました。

社会に伝えたいメッセージをどうぞ!

「百年の計をもって」という言葉がありますが、都市の創造は、まさに百年の計をもって進めなければなりません。今、特に東京に関して言えるのは、「百年の計をもって、スピードを上げて再構築すべき」ということです。

もうひとつ、私もとても好きな考え方ですが、“Think Globally Act Locally”が重要ですよね。地球環境問題に対し、足元からできることをきちんと実行しながら、官民あげて取り組んでいきましょう。

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