クリックで救える命がある。

«前の語人   |   次の語人»

岡和田 剛

vol.81


PROFILE

日立建機株式会社
CSR推進部
部長代理 技術士(機械部門)

現在の会社での経歴と担当している主な活動

入社後14年あまり、トンネルを掘る機械であるシールド掘進機のセールスエンジニアとして、都営大江戸線、京都地下鉄東西線などの地下鉄工事や広島市などの下水道工事にかかわる。2005年8月に、新設されたCSR推進部に異動、CSR活動推進とCSR報告書の作成業務に従事する。国内グループ会社19社に加え、海外グループ会社12社も訪問してグループとしてグローバルにCSR活動の展開を図っている。

趣味

将棋(高校選手権東京代表、学生名人戦関東代表になるなど当時はプロにあと一歩の実力)

好きな国or行ってみたい国

好きな国はカナダ、オーストラリア。雄大な自然に魅了されている。現在行って見たいと思う国はアルゼンチン(イグアスの滝観光)とフィンランド。

影響を受けた人、尊敬する人、目標にする人

社会人になって間もない頃に読んだ、長谷川晃当時コロンビア大学教授の「君はもっと豊かになれる」は、今も自分の考え方に影響を与えている。"物質的豊かさ"と"心の豊かさ"に加え、アメリカ人は"自由の豊かさ"も享受していることを著書で知り、目からうろこが落ちた。それまで、アメリカ人との考え方の違いに戸惑うことがたびたびあったが、理由が分かった気がした。以来、働いて社会に貢献することも重要だが、個人の生活も大事にする必要があると考えるようになった。

一番大事にしているもの

健康。会社帰りにフィットネスクラブに通うのを日課にしている。


岡和田さんが描く、理想的な社会とはどんな社会ですか?

一言で言うと"グッドライフ"を享受できる社会です。最近はワークライフバランスという言葉もよく使われるようになりましたが、とにかく、際限なく長く働くことをやめるのが、一番重要な第一歩だと思います。日本は、物質的に豊かになり、スポーツや文化を楽しんだり海外旅行に出かけたりと、精神的にもずいぶん豊かになったと思います。しかし、仕事への倫理観が高いせいか、依然として長時間労働をする習慣が抜けず、心身の健康に悪影響が出るなどストレスが多い社会だと思います。

一生懸命働いて社会に貢献することは大切なことだと思いますが、自分の時間もそれなりに確保し自由の豊かさを享受する生活を送れるようになれたら良いと皆が思っているはずです。できないのではなく、やろうとしないだけなのではないかと疑問に思うこともあります。

どうすれば、この理想的な社会を築いていけると思いますか?

世界を見渡すと、日本のように恵まれている国のほうがずっと少ないですよね。ただ今回については、話が複雑になってしまうのを避けるため、前提として、物質的に豊かになっている社会、特に日本に限ってお話したいと思います。端的に言うと、各人が自分のライフプランをもっともっと具体的に考えること。加えて、自分の時間を確保するために、働き方を見直して短時間でも成果が出せるよう効率良く働く工夫をする必要があると思います。日本は物質的には十分に恵まれていますが、アメリカなどに比べると衣食住にかかる基本的費用が高いためか、まだ生活に不安を持っている人が多いようです。これが一生懸命働く原動力にもなっているのだとは思いますが、不安が必要以上に大きいために、備えることが目的化しているとも言えるのではないでしょうか。日本人は死ぬときに一番資産を持っているという話があるほどです。

もっと自分のライフプランを考えて、精神的豊かさを得るために使えるお金を捻出する必要があると思います。もちろん、せっかくお金を捻出しても働きすぎて使う時間がなければこれもいけません。特に、会社に貼りついていた男性が働き方を見直すことは、当人のみならず、家族の生活や、地域社会に対しても、多くの改善をもたらすはずです。社会的な課題とも言える男女共同参画や子育ての問題が良い例です。これまでは、働き盛りの男性が残業を重ねて1.5人分働いていた分、その妻は家でひとりで子育てをしてきました。夫婦が文字通りふたりで子育てをして、夫も妻も外で1人分ずつ働いたほうが、よほど効率が良いとは思いませんか。欧米の例などを見ると、女性が社会進出している国のほうが、出生率も高いという結果すら出ています。

今の仕事をしていく上での喜びと、逆に難しい点は?

CSR推進部に配属されてからこれまでに3回、毎年3ケ月くらいかけてCSR報告書を作っています。性質上堅苦しい文章にならざるを得ないのですが、それでも読んで感想を寄せてくれる人がいます。たとえ辛口のコメントでも嬉しくなりますね。

難しい点はCSR意識の浸透です。CSRの方針についていくら説明しても、それが日々の行動で実践されないと直ぐに忘れてしまいます。これは、将棋の定跡を勉強しても実戦を繰り返し行わないと身につかないのと同じです。ですから、方針に沿った行動を習慣づけてもらうことが大切です。業績評価にCSR視点を盛り込む企業も出てきたようですが、まだ一般的ではありません。そのような状況ですから現在は共感を得て動かすしかありません。私はもともと、技術畑でどちらかというと機械を相手にしてきました。相手が人間だと難しいですね(笑)。

今の仕事を始めてから体験した印象的なエピソードはありますか?

CSR活動をグループとしてグローバルに展開するにあたって、コンサルタントとともに海外のグループ会社をまわりました。その際、担当者として自らの言葉で意気込みを伝えるべく、各国で英語でプレゼンを行いました。英語はそれなりに勉強してきたものの、プレゼンとなると10年ぶりくらいです。甚だ不安ではありましたが、何とか頑張りました。1月にカナダの会社に訪問した際は、真冬だというのにコートも要らない暖かさであったことに驚き、プレゼンの始めに、「昨日こちらに来ましたが、暖かくてびっくりです。これが地球温暖化のせいでなければ良いのですが」と言ったところ何と聴衆から笑い声が巻き起こり、「お!通じているじゃないか」と気をよくしてプレゼンを進めることができました。

一方、南アフリカの会社に訪れた時は、社長の話す英語に慣れるまでしばらくの時間、社長の言っていることがさっぱりわからないという出来事もありましたが(笑)。

担当者になってから、自分の意識や生活の中で変わったことはありますか?

Googleでの検索頻度と読書の量が激増しました(笑)。管理部門の仕事をしたことがなかったので、分からない言葉が出るととにかくGoogleのお世話になっています。

また、会社内や世間で起きていることについてイントラやインターネットで情報収集するとともに、必要に応じて本を買って読み、物知り博士になるような努力をしています。読書量が1ヶ月あたり20冊を超えることもありました。

社会に伝えたいメッセージをどうぞ!

ワークライフバランスというキーワードに注目が集まるようになりました。これから企業は従業員の個人的生活に配慮する方向にどんどん動いていくと思います。一方、各個人も、働き方の見直しを行って短時間でも成果が出せるよう工夫する努力をはらわなければなりません。

そうした動きが社会現象となれば、物質的な豊かさ、精神的豊かさに加え自由の豊かさも享受できるような社会になっていくのではないでしょうか。

«前の語人   |   次の語人»

▲このページの一番上へ

語る

1〜101〜10

11〜2011〜20

21〜3021〜30

31〜4031〜40

41〜5041〜50

51〜6051〜60

61〜7061〜70

71〜8071〜80