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片山 隆史

vol.77


PROFILE

東邦レオ株式会社
エコライフ推進室
グリーンスタッフ統括マネージャー

現在の会社での経歴と担当している主な活動

緑化事業部の営業として、都市緑化技術について実践の中から学んだ後、1999年にエコライフ推進室を立ち上げ、住宅・事務所ビル・商業施設などを対象とした屋上ガーデンリフォームサービスを開始。自身も屋上ガーデンプランナーとして組織を率い、これまでにチーム全体で300件を越える屋上活用を手掛けている。

趣味

日曜大工とキャンプをはじめとするアウトドア。

好きな国or行ってみたい国

スペインやイタリアに行って、多くの人が憧れる街を見てみたい。国内では東北地方の昔から変わらない街並みに興味がある。

影響を受けた人、尊敬する人、目標にする人

家族や学生時代の恩師などたくさんいるが、ずっとサッカーをやっていたため、日本サッカー協会の川淵会長は自分にとって偉大な人。Jリーグができた時は「これで日本に本物のサッカーが根付く」と感慨無量だった。仕事上大きな刺激を受けたのは、環境コンサルタントの森孝之氏。森氏からは、持続可能なライフスタイルを考える上で、様々な教えを得た。

一番大事にしているもの

人との出会いとコミュニケーション。


片山さんが描く、理想的な社会とはどんな社会ですか?

自然と人とが相互補完し合いながら共生する社会です。ちょうど里山のようなイメージですね。かつての里山は、人々が一方的にそこから恵みを得る場所ではなく、人の手が入ることで自然もまた健やかに保たれていました。人間の暮らしもほかの動植物と同様に、自然との強い結びつきを持ちながら、調和がとれていた。職業上感じずにはいられないのが、現代は人と自然の関係がとても希薄だということです。

緑が嫌いだという人はいないでしょうが、緑は置物のようにただそこにあれば良いというものではありません。人と緑の関係性、つき合い方が大切なのだと切に思います。人間はしばしば、緑を無機物のように扱うようになってしまっていますが、それは自然(緑)にとってだけではなく、人間にとってもまた不幸なことではないでしょうか。

どうすれば、この理想的な社会を築いていけると思いますか?

「人が手をかけて育む緑」を、物量的に増やすことです。都会でも、屋上という屋上をすべて緑化することを考えれば、まだまだ緑を増やせる余地があります。現実化すれば、ヒートアイランド現象の抑制など実質的な効果も見込めますし、それ以上に、もっと自然(緑)が身近になり、自然の素晴らしさを体感できる機会が増えて、人々の意識も自ずと変わってくると思うのです。私たちが仕事の依頼の中でよく求められるのが、「手がかからないメンテナンスフリーの緑」です。わからないわけではありませんが、緑と触れ合うことができなければ、本当の価値もわからないままでもったいないと思います。

言うまでもなく、緑は本来、単に人間の目の保養のために存在しているものではありません。できる限り子どものころから土や緑と触れ合って、そこから得られる豊かさを肌で覚えて欲しい。そうすれば、自然がいかに素晴らしく、大切なものなのかを肌で知ることができるでしょう。最近は森林保全のため、植樹や間伐、下草刈りといった作業に休日を費やすボランティアが増えていますね。都市部にも、屋上の緑の手入れでボランティアが活動するくらい、緑が増えれば素晴らしいと思います。

今の仕事をしていく上での喜びと、逆に難しい点は?

ガーデンプランナーとしての仕事で遭遇しがちなのが、お客様のイメージするガーデンが、実際には維持困難であるケースです。例えば、「青々とした芝生にテーブルと椅子を置いて、四季折々の花を眺めながら木陰でお茶をしたい」と考える人は多いですが、仮に最初につくるのが簡単だとしても、以後の維持管理には相当な労力が必要です。緑と関係を深くすると、緑のために割く時間が増えるのです。それが可能であれば言うことはないのですが、ライフスタイルとのミスマッチが生じると、理想的に仕上がったガーデンも、次の年には見るかげもない姿・・・ということがあります。

経験の中で学んだのは、より良い提案をするには、相手をよく知る必要があるということです。その方にぴったりマッチして、施工数年経ったガーデンが一層生き生きとしているのを見ると、人と緑との良い関係を結ぶお手伝いができたようで、この上なく嬉しいですね。

今の仕事を始めてから体験した印象的なエピソードはありますか?

都内某所の大型商業施設内に本格的なインドアガーデンを設ける仕事をした時です。工事の当初、デッキ素材の敷き方ひとつにも様々な要望があって大変でした。依頼主であるその商業施設にも、いろんな方がいますから、多様な意見があったようで、個別に異なる要望が寄せられるんです(笑)。ところが、そうこうしているうちに遂に大きな木が入ったんですね、すると不思議な事に、雰囲気が一変したんです。急に和んだというか、皆さん一様に嬉しそうだったんです。そして、木の前で立ち止まっては、いろんな人がその木について会話を交わしたり、様子を気にかけては私に質問をしたり、緑をきっかけにコミュニケーションが生まれ始めました。それはちょっと不思議な体験でしたね。

商業施設の一角に緑の空間を作るというのは、もちろん、買い物にいらっしゃるお客さんのための計画だったはずですが、そこで一日働くたくさんの従業員の方だって、潜在的に緑を欲しがっていたのでしょう。人は緑に癒されますし、緑はコミュニケーションを生むんだと改めて感じた体験でした。

担当者になってから、自分の意識や生活の中で変わったことはありますか?

やらないと仕方がなかったという事情からスタートして、「オリジナル、手づくり、1から10まで」という三拍子がキーワードとして定着しましたね。私たちの会社には、必要だと考えて手を挙げてた人が新たな仕事に着手し始め、それがやがて事業部に育つような文化があるんです。会社が新事業部を作って社員にポストを与えるのではなく、社員が自主的に始めるケースがほとんどなんですよ。

ただし、自由にやらせてもらえる風土はあるものの、予算がついてくるわけではないですから、必然的に「オリジナル、手づくり、1から10まで」になっちゃうんです(笑)。最初は何も用意されていないから仕方がないのですが、今ではそれが身についてしまいました!必要に迫られると、意外といろいろつくり出せるものなんですね。

社会に伝えたいメッセージをどうぞ!

特に子どもたちに、「土はきたなくないよ!」と言いたいです。それから、お父さんやお母さんには、子どもたちと一緒に花のお世話をする機会でもあれば、その時は是非、土についてお話してほしいと思います。土があるから、そこに種蒔かれた植物が育ち、人間を含む動物が命をつなぐことができます。大人がつい「汚いからさわるんじゃない!」などと言ってしまうことで、子どもに「土=きたない」とインプットしてしまっていることもあるのではないかと思うのです。

大人になってから環境問題を学ぶことも重要かもしれませんが、幼い頃から自然と親しみながら大切さを覚えてゆくのが理想であり、本来あるべき姿なのではないでしょうか。

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