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平賀 弘行

vol.76


PROFILE

ソニー生命保険株式会社
総務部 統括部長
兼 総務部 社会貢献推進室長

現在の会社での経歴と担当している主な活動

1988年1月、30歳でライフプランナーとして入社。1989年より川崎支社(当時)の営業所長を6年半務め、 その後立川支社(当時)支社長、本社で複数の部署を経て、2002年から現職。2003年4月、総務部に社会貢献推進室が設置されたのと同時に室長を兼務し、社内におけるボランティア活動活性化のための企画・立案からISO14001の事務局まで幅広く担当している。

趣味

頭の中を空っぽにすることが趣味。その理由からスポーツが好きで、特にテニス、ゴルフ、スキーは長く続けている。

好きな国or行ってみたい国

気候的に乾燥していて、時間の流れがゆったりとした自然豊かな場所が好み。ホノルルを除いたハワイやオーストラリアは、適度に便利かつ都市化しすぎていなくて良いと思う。東京は正反対!?

影響を受けた人、尊敬する人、目標にする人

影響を受けた人たちは多く、中学時代のライバルに遡り、2度の転職の節目に出会った人たち、ソニーの創業者の盛田氏、現ソニー生命会長の安藤氏など。

一番大事にしているもの

人の縁


平賀さんが描く、理想的な社会とはどんな社会ですか?

人生にはいくつかのステージがあると思いますが、ステージごとに人生を楽しめて、自分の社会的役割と成長を実感できる社会が理想だと思います。 また、大人たちが老いてゆくことを楽しめるようでなくてはならない。そうであれば、次の世代の幸せを願えますし、安心して子どもを生み育てることができます。 さて、日本はどうでしょう。私は現在の日本にかなりの危機感を感じています。自分の受けてきた教育や社会的背景を振り返ってみると、そこにアンチテーゼがあるんですね。 日本人は経済的に豊かになりましたが、幸せになってきたでしょうか。人生を楽しむ余裕のある日本人がどれだけいるでしょう。 私が悲観することを、如実に現していると思われるデータがあります。 15歳以上の子供をもつ母親を対象に行われたある調査で、「子育ては楽しいか」という問いに対し、Yesと答える人がアメリカでは7割以上、韓国は5割以上。日本はといえば2割台だそうです。

なんとも悲しい数字ですね。これでは子どもを生みたいと思う人が減っていってもおかしくありません。なんだかんだ言ってもこれだけ経済的に豊かな国でこの有様では、何かが間違っているとしか思えないのです。日本人だって、そろそろ人生を楽しむ余裕が出てきても良いとは思いませんか。 日々の暮らし、1年の暮らしのサイクルの中にもう少しゆとりを持てれば変わるように思います。 欧米の人たちのように、1年の中で2〜3週間の連続休暇を取って、バカンスに出かけてリフレッシュしたり、子どもと触れ合う時間を増やしたり。 これまでの日本人の多くは、就職してから40年近く働きづめで、定年を迎えると突如膨大な時間ができます。時間の使い方なんてわからない上に経済的にも安泰とは思えないとなると・・・。 社会全体が走る速度を少しゆるめてみても良い時機が来ているのではないでしょうか。そうすれば、違う景色が見えてくるかもしれません。

どうすれば、この理想的な社会を築いていけると思いますか?

例えば企業が、CSRの中でも内向きのCSRに積極的に取り組む。つまり、社員を大切にし、一人ひとりが仕事のみではなく個々の人生においても社会的役割をみつけられるよう意識した社員教育を行ったり、堂々と仕事と子育てを両立できるような風土と環境づくりに努めること。子育てについて言えば、日本では、以前は三世代同居なんていうのが当たり前で、長い間そうした環境で子育てしてきたわけです。それが戦後になって核家族化が進み、価値観が急速に変わって、いつの間にか「何でも親に聞いたりせずに」とか「おばあちゃんに頼っちゃいけない」などと考えるようになりました。ましてや、地域の人たちとの関係はもっと遠いわけです。子育てというものを身近で接する機会のなかった人たちが、子どもを生み育てる未知の体験を不安に思うのは当たり前です。であれば、国なり企業が子育てについてもガイドライン的なものをつくって、しっかり後押ししてはどうかと思います。外向きのCSRでは、NPOとの協働を促進させ、社会のバリアフリー化に貢献する。社会を支えてゆくために税金を納めることは当然必要ですが、企業が、利益を税金でばかり還元するのではなく、もっと主体性を持って社会的弱者に振り分ける活動を広げていっても良いと考えます。逆に国がそれを推奨するのもありだと思うんですよね。

青少年の教育の、既存の学校教育では難しい部分を企業が社会貢献活動として担うのも有益だと思います。 私自身、学生時代を振り返れば、なぜ国語が、数学が、社会が必要なのか、実社会でどのように役立つのかイメージがわかないまま、テストや受験対策を目的に科目を詰めこんできましたが、これは良くない。勉強と実社会とをつなげて教えるべきだと思います。 ソニー生命では、社員が高校に講師として出向いて行うライフプランニング授業を提供しています。 簡単に言うと「夢の実現方法について考える」授業です。もちろんお金について知識をつけることも重要だと思いますが、シミュレーションの過程で、将来設計の重要性や夢の実現性を考えてもらうことが目的です。 大学で専門科目として金融学や保険学を学ぶのは一握りの人たちですよね。 しかしなぜ、お金がないと生きてゆけない世の中なのに、万人向けの教育としてこれが行われないのでしょうか。更に言えば、近年ではSRIファンドが欧米を中心に大きくなってきましたね。 社会に大きな影響力を持つ機関投資家をはじめとする投資家たちが、新しい価値観で投資活動を行うようになれば、世の中が良い方向に大きく変わる可能性だってあるのですから、是非若いうちからお金について学ぶ機会が与えられるべきだと思います。

今の仕事をしていく上での喜びと、逆に難しい点は?

一番大事なものを「人の縁」と答えましたが、社会貢献活動においては、通常のビジネスを超えた「人の縁」に恵まれます。そこが喜びですし、自分が誘ってこうした活動に関わるようになった人たちと、やがて同じ喜びを共有できるようになるのは素晴らしい体験です。難しい点は、ボランティアや社会貢献活動そのものに違和感を持つ人が少なくないということです。理由は、道徳教育の不足のためか、日本ではあまり「人の役に立ちなさい」と教え込まれていないのがひとつ。

それから、従来の日本人は、目一杯仕事をして、余力を家庭に向けるのがやっとで、そこから更に社会のために力を尽くすのには無理があったのかもしれないですね。そうは言っても、一方で、一度関わると前述した喜びを見出せる人が多いのですから、いつも言うのは「いっぺん引きずり込んでみよう」です(笑)。

今の仕事を始めてから体験した印象的なエピソードはありますか?

当社の社会貢献活動は、社会貢献推進室の企画ありきではなく、もともとライフプランナーが自発的に始めたボランティア活動が大きく成長してきた経緯があります。 社会貢献推進室が設置されることが決まった2002年に、まずは、阪神・淡路大震災の後に自主的に組織された、ライフプランナー主体による「ソニー生命ボランティア有志の会」の会合に顔を出して、話を聞いてみようと出かけました。すると、平日の昼間にもかかわらず、メンバーたちが、それはそれは真剣にボランティア活動について話し合っていました。 彼らはフルコミッション制のセールスマンで、その意味ではTime is moneyです。毎週時間を割いて集まっていると聞いて驚き、感動しましたね。 被災地支援というのは、災害の直後は比較的充実していても、その後復興までのフォローがなかなか行き届かないものです。

その一方で、例えば阪神・淡路大震災は95年のことにもかかわらず、いまだに生活が元に戻らない人が大勢いらっしゃる。とりわけ独居のお年寄りについては物心ともに厳しい状況です。継続して支援を続けているボランティア有志の会のメンバーには頭が下がる思いでした。彼らはその後も、様々な地域で精力的にボランティア活動を展開しており、現在は社会貢献推進室がそれをサポートしています。 ボランティア活動をする人たちの情熱には、折にふれ胸を打たれますね。 身近では、ボランティア有志のメンバーもそうですし、活動に関わらせていただいているスペシャルオリンピックス(知的発達障がいを持つ人のスポーツを推進する団体)やアイメイト(盲導犬の育成、普及を目的とする団体)の方などにお会いすると、むしろ営利団体より熱心なのではないかと思わされます。

担当者になってから、自分の意識や生活の中で変わったことはありますか?

以前は、ボランティア活動に対して敷居の高いイメージを持っていたんです。現場に行ってみて本当に役に立つのか、疎外感はないのか考えることが先に立っていました。 しかし、担当になれば仕事ですから、敷居がどうとか言っていられない(笑)。

なので、行きますよね。そして実際に行ってみれば、何かしらできることがあるんです。繰り返すうちに自然に敷居も低くなりました。 ボランティア活動が生活の一部とまでは言えませんが、自分を成長させるひとつの経験として根付いた感じはしています。

社会に伝えたいメッセージをどうぞ!

政治家なり大企業の経営者なりといったリーダーのパワーによってではなく、民力で、この国をなんとか何とか良い方向に変えてゆく必要があるのではないでしょうか。皆が愛し、未来永劫残してゆきたいと心底思えるような日本にしたいですね。それから、近年頻発している自然災害は、地球の悲鳴だと思うのです。人間の経済活動が引き起こす環境への負荷が、とうに地球の自浄作用の範疇を超えていることを、私たちの本能は知っていますよね。

「科学的に証明されていない」などと言って、未だにそれに疑問符をつける“偉い人たち”が大国にもいますが、頭は良くても生き物としての感覚が鈍っているとしか思えません。地球は宇宙の奇跡です。美しい自然を擁し、素晴らしい生き物が住んでいる。何としても後世に受け継がなくてはいけません。

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