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重本直久

vol.73


PROFILE

株式会社ユニクロ
法務部
CSRチーム
リーダー

現在の会社での経歴と担当している主な活動

1998年入社。
給与社会保険のリーダーとして、障害者雇用を推進。
2006年3月にユニクロCSR部に異動。この秋から本格的に始まるユニクロ全商品リサイクルの活動を中心となって推進。
その他、個人情報管理、コードオブコンダクトの制定、中国工場の監査など、幅広いCSR業務にリーダーとして関与。

趣味

バイク。車のような快適さはないが、風を感じながら走るのがたまらない。

好きな国or行ってみたい国

愛車(バイク)の生まれ故郷のイタリアに行ってみたい。

影響を受けた人、尊敬する人、目標にする人

父親と、前職のシステム会社での上司。前職での上司は、入社したてで総務全般を任せてくれた。最初は戸惑ったが、その経験が今も役立っており、非常に感謝している。

一番大事にしているもの

家族。二人目の子どもがまだ9ヶ月で、できることならずっと一緒に過ごしたい。長女は10歳だが、すっかりお姉ちゃんぶって弟の面倒をよく見ており、その姿も微笑ましい。


重本さんが描く、理想的な社会とはどんな社会ですか?

戦争が無いこと、治安が安定していることが大前提ですが、経済的にもある程度の豊かさが必要ですよね。自分が知る限り、現在の日本はずいぶん理想に近いのではないでしょうか。ただし、豊かになると弊害として出てくるものがあるのも確かです。経済が発展してモノが溢れていれば良いというわけではないのは言うまでもないでしょう。モノを大事にすることは、シンプルでありながら今の時代にこそ共通して必要とされている観念だと思います。日常的にリサイクルを意識したり、ゴミを減らすよう心がけたりすることは、社会をより良くするためにひとり一人ができることですから、私も業務の中で、また、一個人としても取り組んでゆきたいと思います。

ユニクロでは、これまでも店舗でフリースを回収して燃料として燃やすサーマルリサイクルを実施してきましたが、そうした活動を、なんとか全商品に広げられないかと考えてきました。また、その際、回収した衣類をできる限り環境に負荷の無い形で再利用したいと思いました。考えた末に、NGOを通して途上国へ送る方法でテスト的にやってみることにしました。2006年9月にスタートする予定ですが、業界初の取り組みです。ユニクロの店舗数は700以上になりますから、全国で実施するとどれくらいの量が集まるのか、それらの輸送費を含めて未知数なところが大きく、不安もありますが、お客様と一緒にできる活動なので、軌道に乗せたいですね。

どうすれば、この理想的な社会を築いていけると思いますか?

企業はもちろんですが、消費者としての私たちが、モノを購入する際に後々それがゴミになるところまでを意識して、消費行動を見直すことではないでしょうか。先ごろテレビで、徳島県の山間にあるユニークな村が紹介されていたのを見ました。過疎化、高齢化が顕著であるにも関わらず、非常に元気で意欲的な村です。感銘を受けたのが、目を見張るほどのゴミの少なさでした。この村のリサイクル率は約8割、分別の種類は30を超えるそうです。やればできるという良いモデルですね。

この村にはまた、お刺身の添え物に使う季節折々の葉っぱなどを山で収穫して出荷する第三セクターがあり、担い手は高齢者たちですが、まさに自然の恵みそのままの商品が人気を博し、業績も上々だそうです。素晴らしいと思いましたね。彼らのような暮らしをそのまま真似するのは無理でも、少なくとも買い物袋を持参するぐらいのことは私にもすぐにできますし、公私共に見習いたいと思いました。

今の仕事をしていく上での喜びと、逆に難しい点は?

ユニクロはかねてから障害者雇用を推進してきました。会長の方針で推し進めてきたことですが、私は実際に現場を動かすための旗振り役を務めました。ユニクロ全店で1名ずつの障害者を雇用することを目標に実践し、現在では全店の約8割で実現しています。障害を持つスタッフがいることでもたらされるプラス面は大きいんですよ。健常者が日頃意識していなかったことに気づいて、自然と相手の立場に立とうと思うようになります。例えば、耳の不自由なスタッフがいる職場では、危険がないようドアをやさしく開け閉めするようになります。職場に気遣いが生まれること自体良いことですし、障害をお持ちのお客様への対応はもちろん、接客全般にそうした意識は表れてくるものです。他者に配慮する気持ちは、相手に障害があろうとなかろうと必要なことで、相手によって配慮のポイントが異なるだけのことではないでしょうか。共に働くことで障害者を障害者として特別視するのではなく、社会を構成する多様な個性の一要素として自然と受け入れるようになれるのなら、障害者雇用の意義は深いと思います。会社が大所帯になるとやりやすくなることとやりにくくなることがありますが、ユニクロは店舗数が多いだけに、取り組みが業界全体にインパクトを与える分、これを陰で支えることができたことに達成感を覚えます。

難しいのは、営業の人たちにしてみれば私たちは、いつも何かしらの負担をお願いする役回りであるというところでしょうか。「障害者雇用を始めます」「リサイクルを始めます」ということは、良いことだとはわかっていても、現場にとって少なくとも一時的には負担なわけです。効率化や経費の削減と日々戦っている彼らに、それでもなぜやるべきかの理解を求めてゆくのは簡単なことではありません。しかし本来、会社の中にCSRに関わりのない部署というのは存在しませんよね。どんな仕事をするにしろ必要な考え方なのですから。CSRの部署というのは、調整役あるいは社会貢献活動のような他で受け持たない仕事を担って隙間を埋める部署なのかもしれませんね。苦労が無いわけではありませんが、幸い部署内のチームワークがよく機能しており、それぞれの得意分野をうまく活かせる環境なので、仕事がしやすく助かっています。

今の仕事を始めてから体験した印象的なエピソードはありますか?

全店舗全商品の回収の前段として、北海道の店舗限定でこれをトライアル実施しました。この取り組みを北海道のテレビ局2局が取り上げてくださり、私が取材を受けました。回収の意図などを説明しましたが、番組の反響が想像以上に大きく、実際に店舗に持ち込まれたお客様にアンケートをとったところ、かなりの方がテレビを見て活動を知ったという結果が出ました。

テレビの影響力の大きさを思い知るとともに、こうした場で話をさせていただくことの責任の大きさを再認識する機会になりました。ましてや全国版だったら・・・と思うと身震いがするくらいです。テレビの取材は何度か受けた経験があり、ある程度要領は得ているつもりですが、普段は人前で話すことにほとんど抵抗のない私も(笑)、毎回緊張せずにはいられませんね。

担当者になってから、自分の意識や生活の中で変わったことはありますか?

山口本社から東京に転勤になったことで生じた変化が一番大きいです!東京の電車通勤は辛いですね・・・。ラッシュを避けたくて早く家を出ています。仕事の中身でいうと、以前は総務でしたから、必要な仕事ありきで、それを締め日などの期限に基づいてこなしてゆきます。

CSRの担当者はそうではなく、自分で生み出して自分でこなすタイプの仕事が多い。ですから、やればやるほど仕事の量が増え、自分で自分の首を締めるような(笑)。一方で、だからこそ感じられる充実感があるのも事実ですけどね。

社会に伝えたいメッセージをどうぞ!

2006年の9月1日より、まずは一ヶ月間、全店で全商品を回収します。個別に状態を確認して、一部は製品を糸に戻すなどしてリサイクルに回すことになると思いますが、主には開発途上国の人たちによってリユースされます。

タンスの肥やしになっているユニクロの洋服がある方は、次に着てくれる人がいることを想像していただきながら、是非店舗まで持ってきてください!

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