クリックで救える命がある。

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堀江裕美

vol.68


PROFILE

スターバックス コーヒー ジャパン 株式会社
広報室 室長

現在の会社での経歴と担当している主な活動

2005年3月にスターバックス コーヒー ジャパン株式会社に広報室長として入社、責任範囲は、CSRのほか、企業広報、IR、 Website Management、CPG(消費者グッズ)マーケティング。
中でもパートナー(社員)が参加できる地域に密着したCSR活動を行う環境を整えることを重要視しており、CSR戦略策定と実施に力を入れている。

家族構成

夫と二人暮し

趣味

ジムでのエクササイズ、 ショッピング、乱読書

好きな国or行ってみたい国

いろいろな国に行ったが、自分が生まれ育った日本(東京)が一番好き。東京の次に好きなのはニューヨーク。

影響を受けた人、尊敬する人、目標にする人

大勢いるが、あえて一人だけあげるとしたら John Onoda。
前職で17年務めたリーバイ・ストラウス社の前Chief Communications Officerで、コミュニケーション職の基本的なことは彼から学んだ。

一番大事にしているもの

(自分と大切な人たちの)健康と元気


堀江さんが描く、理想的な社会とはどんな社会ですか?

「持続可能な社会」を思い描こうとした時、ぱっと浮かんだのがジョン・レノンのIMAGINEの歌詞で「imagine all the people living for today」のフレーズなんです。みんなが今日のために生きる。シンプルですが深いですよね。「今日を最良の一日にするべく生きる」と解釈することもできると思います。今日の自分は、精一杯だった、自分に素直だった、人に優しくできた。・・・そう思える生き方をみんなができたなら、社会全体が理想に近づけるのではないでしょうか。というのも、利己的で他人を顧みないような行ないは、今を犠牲にしながら見えない何かを追い求めているようで、それは自分に対しても真に誠実なあり方ではないと思うからです。一日一日を充実したものにするためには努力が必要ですが、私自身、時々ちょっと手を抜いたりすると、必ず後で後悔するんです。ですから、疲れても全力を尽くす道を選んだ方が、精神的にもずっと良い結果を生むと経験上確信しています。

一日の終わりに、「もうちょっと頑張っておけば良かったな」と後悔しながら眠るのはイヤですね。そんな性格を人には「暑苦しい」と言われますけど(笑)、「今日も一日頑張ったなぁ」と満足しながらベッドに入れる方が幸せじゃないですか?実は、身近な人が若くして立て続けに亡くなったことがあって、その時、命や人生には限りがあるんだという現実にいきなり気づかされてしまったんです。今この一瞬一瞬がかけがえのない時間なのだと。同時に、まわりの人たちの存在が急に愛しく思えました。私たちは通常、明日も明後日も、来年も3年後もあると思って生きています。けれど、当たり前に来るはずの明日が来ないこと、当たり前に会えるはずだった人に会えなくなることだってあるのです。本当に今日のために生きようと思えば、人を裏切ったり争ったりするのが虚しいことだとわかるでしょうし、自分に誠実になれば、そんな道は選ばないと思うのです。

どうすれば、この理想的な社会を築いていけると思いますか?

教育がキーワードだと思いますね。いわゆる知識の詰め込みではない教育です。いかに情報を得ることが簡単な時代であっても、ワンクリックで考える力をつけたり、生きてゆくために大切な価値観を育てることはできません。「教育」というと構えてしまいがちですが、生きてゆくのに一番必要な教育というのは、小さな子どもでも理解できるもので、誰もが3歳くらいの時に既に家庭で教わっていることだと思います。

人として生きてゆく上で一番大切な力というのは結局、3歳の頃お母さんに繰り返し教わったことを守り、自分のものにしてゆくことにほかならないのではないでしょうか。

今の仕事をしていく上での喜びと、逆に難しい点は?

スターバックスは、広告を出すことがほとんどないんですね。最初に聞かされて惹かれたのは、「何をしているかを伝えることによってではなく、何をしているかによってブランドをつくり上げる」という、ブランド構築に対する考え方でした。何をしているかとブランドがイコールなんですね。私たちは店舗のスタッフをパートナーと呼びますが、日本に592店舗、世界に10,000を超える店舗のパートナー一人ひとりがスターバックスのブランドをつくるのです。例えばメディアを通して知ったスターバックスに良いイメージを持っていても、実際に店舗を利用した時、接客態度が悪かったり、店が汚れていたりしたらどうでしょう。日本だけで1万人以上いるスターバックスのパートナーは、そこをよく理解してくれています。スターバックスでは、どの年齢でどんなポジションで入社したかに関わらず、最初は必ず店舗研修があります。私も2週間、20歳そこそこのパートナーに混じって、お皿洗いからトイレ掃除までやりました。

そこで実感したのは、パートナーたちが何を喜びに仕事をしているのかというと、何にもまして、お客様に喜んでもらえることだということです。私自身、お客様の「ありがとう」の一言が、あれほどまでに嬉しいものだと知りませんでした。どれだけ嬉しいかと言うと、その喜びを誰か他の人、例えば地域のコミュニティに還元したい、と思うようになるほどです。パートナーの皆さんは、CSRにも驚くほど関心があるんですが、その理由がわかる気がしますね。難しいのは、全社的に社員を巻き込んだボランティア活動を企画したくても、なにぶんパートナーが沖縄から北海道まで点在しているため、物理的に困難だということです。それでも、パートナーたちからの挑戦してみたいという声も多いので、私たちも実現のために知恵を絞らなくてはなりませんね。

今の仕事を始めてから体験した印象的なエピソードはありますか?

昨年、『イチロー・スターバックスカード』というプリペイドカードを販売しました。カードには1,000円チャージされていて、そのうち200円を寄付させていただくものです。お陰様で多くの寄付金を、メイク・ア・ウィッシュ オブ ジャパンをはじめとした、子どもたちのために活動する非営利団体に贈呈することができました。メイク・ア・ウィッシュ オブ ジャパンは難病に立ち向かう子供たちの夢をかなえるための活動を展開するボランティア団体ですが、『イチロー・スターバックスカード』のご縁から、もう一歩踏み込んだサポートをしようと、クリスマスに向けて店舗のパートナーたちに声を掛け、難病の子どもたちにプレゼントする贈り物を募ってみました。

パートナーに思い思いの贈り物を自分でラッピングして本部に送ってもらうのですが、クリスマス時期は店舗も大忙しなので、あまり集まらないかな・・・と思っていたところ、想像を遥かに越えるたくさんの贈り物が届いて、こちらがびっくりしてしましました。どれもきれいにラッピングされていて、中には「ずっと大切にしていたものをプレゼントします」という人もいました。それだけでも感動的だったのですが、「素敵な企画を考えてくれてありがとう」「こんな企画に参加させてくれてありがとう」と言われたことは、今思い出しても涙が出そうになるほどで、忘れられない思い出になりました。

担当者になってから、自分の意識や生活の中で変わったことはありますか?

若い人たちへの認識が変わったかもしれませんね。CSRにこれだけ興味を持ってもらえるとは思っていませんでした。

CSRなんて面倒だと思われるイメージがあったのですが、単に興味があるのではなく、自分たちも何かやりたい、参加したい、と思ってくれるのには驚きましたね。

社会に伝えたいメッセージをどうぞ!

「仲良くすること」「物を大切にすること」「他人に迷惑をかけないこと」「嘘をつかないこと」。前述しましたが、これら家庭で教わったことをきちんとできることが、どんな時も一番大事ですよね。

私は長年企業の中で広報の仕事をしてきたので、若い人たちに、どうしたら良い広報になれるかと聞かれることがありますが、どんな知識やスキルよりも、それらを愚直なまでに守ることが大切だと信じています。仕事はもちろん、社会を良くするためにも、大それたことではなく、こうした基本が最も必要とされているのではないでしょうか。

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