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吉田健

vol.65


PROFILE

綜合警備保障株式会社
営業管理部
新商品・サービス企画プロジェクト課長

現在の会社での経歴と担当している主な活動

2003年営業企画員として入社。
マーケティング、新商品・サービス企画を主務とする。
2004年より目に見える社会貢献活動を目指し、「あんしん教室」のプロジェクトリーダを兼務。

家族構成

妻、子供(小学4年生)

趣味

北方 謙三の愛読家、焼酎(マイブーム)

好きな国or行ってみたい国

ニューヨーク、ハワイ

影響を受けた人、尊敬する人、目標にする人

父親(人生の価値)、小泉総理(有言実行、リーダシップ)

一番大事にしているもの

常に目標をもち、達成に向けて120%の力を出すこと(達成までのプロセスが楽しい)


吉田さんが描く、理想的な社会とはどんな社会ですか?

仕事柄、安全、安心というキーワードに敏感なので、この切り口からお話ししますが、「子どもたちが安心してのびのびと育つことのできる、心豊かな社会」を目指してゆきたいと考えています。日本は治安の良い国だと言われてきたものの、中でも犯罪の少なかった1973年、ちょうどオイルショックの頃ですが、この年と現在を比べてみると、犯罪件数が2.3倍になっているんですね。届け出があるのは一部分と言われていますが、それでも、年間約250万件の刑法犯罪が報告されています。これだけ増えている理由について、外国人犯罪が取りざたされることが多いのですが、確かにそれも無関係とは言えませんが、基本的には日本人による犯罪が増えているのです。その最大の原因は、日本人の構造意識が大幅に変わってしまったことで、社会規範を守らねばならないという意識が昔に比べて希薄になってしまった事が犯罪に直結していると考えます。それを悪い意味で現しているのが幼い子どもに対する犯罪ではないでしょうか。子どもに対する犯罪は、社会全体、そして地域にとりわけ大きなインパクトを与え、人々を不安に陥れます。子どもは守られるべき存在だというのが、社会の共通認識だからでしょう。一方で、犯罪から子どもを守るために、学校へ警備用に監視カメラが取り付けられている世の中をどう見るか。確かに対策は必要ですが、学校に監視カメラが付いているなんて、個人的には寒々しい光景だと感じます。

子どもたちの心を育んでゆくために最適な環境はどのようなものか、私たち大人がしっかり考えてみる必要がありますね。安全対策のポイントによくあげられるのが地域コミュニティの形成ですが、実際には非常に難しいと言えます。現状では、地域に目を向ける余裕のある大人は多くありません。働き盛りの大人が地域にもっと関わることができれば素晴らしいのでしょうが、それを提唱しても、残念ながら実現するのは困難です。私はむしろ高齢者と子どもを結びつける施策が必要だと考えます。高齢者といっても、仕事こそ引退したものの、まだまだ元気な方が今の日本にはたくさんいます。ボランティアで地域の防犯に貢献したいとおっしゃる方も意外に多いんですよ。「スクールガード」といって、通学路などを見守ることをはじめとする、地域の人たちの手で子どもたちを守る体制を組む動きがありますが、このような活動によって、地域のふれあいが生まれ、より現実的な形でコミュニティをつないでゆくこともできます。仕事を通して強く感じているのは、冒頭で述べたとおり、では犯罪を減らすために私たちが何を必要としているのかというと、行き着くところは「心の豊かさ」なのだと思うのです。その象徴として子どもたちの安全、安心があるように思います。

どうすれば、この理想的な社会を築いていけると思いますか?

大きく分けて三つあります。ひとつはソフトの価値を上げること。ふたつめは女性の社会進出のための環境整備を更に整えること。みっつめは教育システムの再評価です。ひとつめに関しては、まず、政策の評価が必要で、具体的に言うと、先ほども述べたように、学校にカメラを設置したりフェンスを作ったり堅牢な電気錠を導入することの是非には考える余地があると思いますが、単純に、それらのハードを整えれば良い、整えないと悪いなどという論理ではなく、その先を考えるべきだということです。是非を論じるなら、まずはなぜ、どうして必要なのか、そして、必要だと判断するならば、設備を導入した後どう活用してゆくかを含めて検討した末の答えでなくてはなりません。設備を整えさえすれば良いというのは間違いです。より重要なのは、教職員に対する研修だったり、生徒の避難訓練だったり、要するにソフト面なのです。多くの場合、そこが追いついていないばかりか、軽視されています。ソフトを重視してはじめてハードが活きるのです。これは様々なことに対して言えますが、特に公共の設備投資には欠かせない視点です。経済的な価値を含めて、ソフト重視の社会にシフトしてゆかないと、持続可能にならない局面にきていると思います。次に女性の社会進出を更に推進することですが、とりわけ出産後の社会復帰の点で、法律の面を見ても意識の面を見ても、実はまだまだ社会的コンセンサスがとれていないのではないかと感じます。

少子高齢化社会を迎え、出産・育児と介護とが同じウエイトで語られる必要が出てきましたが、こうした社会においては、より女性の能力が重要になると思うのです。なぜなら、女性のほうが、これまで接する機会と経験が多かったことで、守られる立場、つまり子どもや高齢者の立場に立ったものの見方ができるのではないかと考えるからです。少子化や介護にかかわる社会的課題に対しては、女性のほうがより実質的で優れた政策を打ち出せると思いますね。最後に教育のシステムの再評価ですが、これは、現在行われている個性重視の教育と、かつて日本が行っていた、道徳、哲学、職業倫理をベースにした教育を、改めて並べ見てみることです。現在は総合学習などで環境やITをはじめ専門性のある学習を進めています。国際化社会では必要なことでしょう。子どもの個性と自主性を重んじるのもまた、大切なことだと思います。しかし、現代社会に欠けているものを考えた時、小学校で道徳、中学から哲学、高校、大学でマナーを含めた職業倫理の3つを段階的に学んでいた日本独自の教育システムにもまた、注目してしかるべきものがあったと私は思います。

今の仕事をしていく上での喜びと、逆に難しい点は?

ALSOKでは、子どもを対象にした「あんしん教室」に講師として社員をボランティア派遣しています。私はこれのプロジェクトリーダーをしており、時々教壇に立つ機会があります。直接反応を得られるのはいいですね。「ありがとうございました」「ためになりました」「また来てね」。子どもたちからこのように言われるととても嬉しいです。ましてや「かっこいい!」なんて言われたら・・・(笑)。本業への励みになっています。難しいのは、本業とのバランスをどう保ちながら実施してゆくかですね。

おかげさまで「あんしん教室」はたいへん好評なのですが、現場のガードマンが講師を務めるため、仕事の合間をぬって研修を受けたりする必要もあります。しかし、「あんしん教室」を通して、本業において何が求められているのかを知るヒントに出会うことがありますから、その点においても、私はこれを重要な活動だと捉えています。

今の仕事を始めてから体験した印象的なエピソードはありますか?

「あんしん教室」の後、子どもたちから寄せ書きをもらい、その中に「今までで一番印象に残った授業でした」というのがあり、こちらが感動させられてしまいました。また、ある時、以前社員が「あんしん教室」で伺った、千葉県内の小学校の校長先生がお電話をくださいました。

その学校に通う生徒が連れ去り未遂に遭ったそうなんです。その時、「あんしん教室」で習ったことが活きて、事なきを得たということでした。これには、やっていて良かった!と思いましたね。

こうしたらもっと社会が良くなる、というアイディアはありますか?

日本には小学校が約24,000校、幼稚園、保育園入れると60,000校あります。小学生は700万人います。それに対し、当社の「あんしん教室」は必死にやっても年間7万人に対してが限度です。ですから同業他社さんにも、一緒にやりましょうよと折に触れ言っています。当然、社会的に意義のある活動だとの自負がありますし、少子化が進む中、ガ?ドマンをあこがれに思い、将来警備会社に就職したいと思ってくれる可能性だってありますから。企業の行う社会貢献の中には、社員のボランティア休暇制度を設けて取得を推進したり、社長の号令で何に取り組むか決まったりというのもありますが、本業の延長線上で、なおかつ社員参加型というのを選んで成功だったと思うのは、まず、ボランティアを買って出た社員の満足度が非常に高いこと。

派遣先で喜ばれ、警備会社の存在意義を再認識することができたと言います。そのため、休みの日にも研修を受けたり、自分の時間を使っての活動であるにもかかわらず、当初十数人だった申し出が今では300人以上にまでなりました。それから、人に教えることはたいへんなことですから、同時に立派な社員教育にもなるので、経営にもプラスになります。このようにwin-winになるような仕掛けを企画段階で作るのが、企業の社会貢献活動を持続させてゆくために、最も必要なことだと考えます。先ほどの話に戻りますが、これが私にとってソフト重視ということで、これからますます重要になる視点だと思います。

担当者になってから、自分の意識や生活の中で変わったことはありますか?

企業の存在価値が利益を上げることだけではないと本気で思うようになったことです。CSRの概念等、理論的には理解していたつもりでしたが、自ら社会貢献活動の現場を踏んでみてはじめて、肌身で知った感じがしました。それから、「あんしん教室」で教える側に立ってみた経験から、仕事でも部下の主体性を尊重し、「考えさせる」ことを意識するようになりました。

もうひとつ、自宅付近で「あんしん教室」を開催して以来、地元の方々から声を掛けてもらえることが多くなりました。「先生!」とか「隊長!」とか・・・3人組で役柄を演じるのですが、幸い不審者の役ではなかったので(笑)。

社会に伝えたいメッセージをどうぞ!

近年、まだ幼さの残る子供が犯罪の加害者になり大変痛ましく思います。我々は安全、安心の見地から防犯を推進する立場ですが、それによって、被害者はもちろん少しでも加害者を減らしたいと考えています。

そんな思いで子どもたちに防犯のためのノウハウを教えていると、その先の命の教育が必要だとわかります。これは道徳の領域ですが、是非とも学校の先生に積極的に取り組んで欲しいです。教育は奇跡を起こす唯一の手段なのですから。

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