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小西正之

vol.64


PROFILE

アジレント・テクノロジー株式会社
企画・広報部 部長

現在の会社での経歴と担当している主な活動

1974年横河ヒューレット・パッカード(当時)入社、計測機器のフィールド・エンジニア、セールスマネージャ、米国ヒューレット・パッカード社駐在などを経て、1999年、同社計測機器事業の分割・分社によるアジレント・テクノロジー(社)設立と同時に現職に着任、現在に至る。
広報、社会貢献、および渉外業務を担当。
「科学技術の振興」をテーマとして、子供科学実験教室の開催を中心として展開する社会貢献活動はライフワークともなっている。

家族構成

妻と息子とペットのジャックラッセルテリア

趣味

ゴルフとガーデニング

好きな国or行ってみたい国

アメリカやアジア各国には仕事で滞在した経験があるが、ヨーロッパには今のところ縁がない。ブリティッシュロックが大好きなのでイギリス、とりわけビートルズを生んだリバプールに行ってみたい。

影響を受けた人、尊敬する人、目標にする人

営業のマネージャーをしていた頃の上司。優れたリーダーシップの持ち主で、戦略をもって人を育てることに秀でていた。彼のもとで学んだことはその後の仕事に非常に役に立っている。
現在担当している社会貢献活動においては、活動の中で知り合ったNPOの方々。彼らの志と情熱には刺激されることが多い。

一番大事にしているもの

家族との時間


小西さんが描く、理想的な社会とはどんな社会ですか?

個人が社会の問題を解決するために何をすべきか考え自主的に行動できる社会です。一言で「個人」といっても、それぞれに違う個性と違う能力があるので、果たせる役割も異なりますね。だからこそ、ひとり一人が社会と関わりを持つことが大切なのです。個人と社会とは相互関係にあり、私たちは必ず社会から恩恵を受けています。

問題なのは、それに気づいていない人がいたり、何かしたくても、自分が社会に対してどんな役割を担えるのかがわからない人が多いことではないでしょうか。私の、現在の仕事における使命は、そうした人たちにも、考えたり行動したりするきっかけと機会を提供することだと思っています。この機会提供の役割を担うセクターとしては、行政やNPOはもちろん、企業もまた適役だと思います。

どうすれば、この理想的な社会を築いていけると思いますか?

前述したように、行政機関や企業、NPO等が協力し合い、社会問題への意識を高め行動につながるよう、個人に対してより多くの機会提供をすることです。行政は施設など、企業は技術力や資金、NPOもまた、専門性のあるノウハウや人材を持っています。このようにそれぞれが提供し得るリソースも違いますから、横の連携は大きな力になるでしょう。

まずはひとり一人が踏み出すための機会提供、更には、それにより生まれた活動をサポートするまでの一連のシステムが必要だと私は考えています。今のような仕事をしていて気になるのは、社会のために活動するNPOは数あれど、資金不足で存分に力を発揮できていないケースがほとんどだということです。これは社会にとって損失になりかねません。今後は、横のパートナーシップがますます重要になってくるでしょう。

今の仕事をしていく上での喜びと、逆に難しい点は?

アジレントでは、科学技術の振興を、社会貢献活動に取り組む際の重点分野に定め、小・(中)学生に様々な科学実験の機会を提供する「こども科学実験教室」をはじめとする活動を行っています。理科系離れが進んでいると言われている子どもたちに科学の素晴らしさや不思議さを伝えたいと願っての活動です。「こども科学実験教室」は、学校での理科実験を一歩進めたもので、実験キットもアメリカから取り寄せた本格的なのものです。実験は大人でも楽しめる内容なので、好奇心旺盛な子どもたちにとっては驚きに満ちているようです。毎回たいへん盛り上がりますね。子どもたちの、興味を持ったことへの集中力には目を見張るものがあり、家族の方まで「子どものこんな顔は見たことがない」と驚かれますよ。また、自分たちもこのような授業を受けていたらきっと理科が好きになったとおっしゃいます。こうした反応には手ごたえを感じますね。

また、親子で参加されてこうした体験を共有することが、家庭でのコミュニケーションを増やすという副産物もあります。お父さんは概して理科に強い傾向があるので、この話題になると、家庭でのお父さんの株が上がるようですよ(笑)。難しい点は、社員のボランティア参加をいかに増やしてゆくかでしょうか。現在の参加者は全社員中の約1割です。多いほうだとも言われますが、担当者としてはやはり全員参加が目標ですね。必ずしも会社のプログラムである必要はありませんが、ボランタリーな活動を体験してもらいたいです。当然強制するものではありませんし、好きな時好きなことで参加してもらってかまわない。ただ、少なくとも、一度やってみようかな、という気持ちにはなって欲しいと願っています。そこまでどのようにもってゆくかが課題ですね。

今の仕事を始めてから体験した印象的なエピソードはありますか?

当社のプログラムで、ゲルマニウムラジオの実験教室に参加した女の子が、それをきっかけに科学に興味を持ち、高校生の科学コンテストに出場したんです。朝日新聞社主催の大きなコンテストで、高校生を対象としたコンテストでは日本を代表するものです。彼女は最終選考に残って、科学未来館で発表したのですが、コンテストに当社が協賛している関係で、私も最終選考の当日、審査会場におりましたところ、「アジレントの小西さんですよね?」と声をかけてくれました。

その際、ラジオの教室で科学に興味を持つようになって科学クラブに入り、いろいろな研究をするようになったことを教えてくれたのです。それを聞いた時は本当に嬉しかったです。この先、実験教室に参加した子どもたちが成長して、その中から科学者が生まれて、末はノーベル賞受賞者が出てきたり!・・・なんて夢が膨らんでいますが、実現すると最高ですね(笑)。

こうしたらもっと社会が良くなる、というアイディアはありますか?

繰り返しになりますが、私たちひとり一人が地域や社会に目を向け、なおかつそこに自主的に関わってゆくことだと思います。私がここで言っているのはボランティアのことなのですが、同じ活動にボランティア参加している人たちも、動機はそれぞれ異なるものなのです。当社の実施する「こども科学実験教室」での社員のボランティア参加の例だと、子どもが好きだからという人、教えることが好きだという人、また、イベントの運営のようなことが面白いから参加してみたという人もいます。

実際、それぞれ自分が好きなことやできることをできる範囲でするのが一番良いと思います。やりたくないことを無理にお願いしてやってもらったら、次回からは参加したくないと思われてしまうからです。日本ではまだまだ「ボランティア」という言葉に構えてしまう傾向があるようにも思いますが、提供する方も受け入れる方も、もう少し気軽に捉える必要があるかもしれませんね。

担当者になってから、自分の意識や生活の中で変わったことはありますか?

実は私自身、以前は社会貢献活動を冷めた目で見ていました。なんとなく偽善のように感じられて・・・。けれど今は、こうしたひとつひとつの小さな積み重ねこそが社会を変えてゆくのだという信念を持つようになりました。ひとり一人の意識と行動が良い社会を作るのだと信じられるようになり、こうした活動をライフワークにしたいと思うに至りました。また、職務で社員のボランティア活動を促すような役割になってから、心構えの点で変化してきたのは、「気楽な気持ちでやってみましょうよ」と、自分自身にも言い聞かせるようになったことでしょうか。

子どもが小さい頃、ボランティアで子どもたちのサッカーのクラブチームのコーチをしたことがありまして、その時を振り返ると、どうも私は義務感でやっていたんですね。行き掛かり上引き受けざるを得なかった経緯もありましたし、少々重荷にも感じていました。今思えば、肩の力を抜くことで、もっと楽しいと思えるようになったはずなのに。今は身構えすぎないことで、なにより長く続けてゆく自信がつきました。現在私にとってボランティアは、ごく自然に生活の一部になりつつあります。 。

社会に伝えたいメッセージをどうぞ!

私はもともと技術者ですし、営業職が長く、ビジネスに直結する仕事をしていたということもあって、社会貢献活動を立ち上げるにあたって社長に声をかけられた時は、正直言って迷いました。どう考えてもちょっと毛色が違うだろうと(笑)。けれどこう考えるようになったのです。ビジネスというのは競合との戦いで、ひとつのパイの取り分を取り合うようなもの。一方、現在私が担当しているような活動は、一見ビジネスとは関係のないように見えますが、長い目で見ると、そのパイ自体を大きくする可能性を秘めた仕事なのではないかと。

私たちの活動により科学技術の振興に貢献できれば、将来的にこの分野での市場が拡がり、新たなビジネスを生み出すかもしれません。パソコンや携帯電話が良い例ですよね。ですから、競合している企業であっても、協調して、みんなでパイを増やすよう努めることができる。これがこの仕事の醍醐味なのだと思っています。

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