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楽々道夫

vol.61


PROFILE

株式会社バンダイ
文化事業推進室 ゼネラルマネージャー

現在の会社での経歴と担当している主な活動

大手広告代理店を経て2000年にバンダイ入社。
キャラクター研究所を立ち上げ、その後、ブランド戦略、文化事業推進室を含むコーポレートコミュニケーションに携わる。
2004年4月に独立させた文化事業推進室では、世界の優れたアンティーク・トイを展示する「ワールドトイミュージアム」を運営したり、エジソンの発明品を所有し、子どもたちに紹介したり実際に体験してもらう「バンダイエジソンアカデミー」を開講するなど、バンダイらしさを大切にした社会貢献に取り組んでいる。

家族構成

妻、長男(既に独立)、長女(オーストラリア在住)

趣味

モータースポーツはA級ライセンスを保持する腕前。14歳の時にモトクロスを始め、5年前まではフォーミュラーカーのレースに出場していた。

好きな国or行ってみたい国

しいて言えばアメリカの自由な風土が好き。行ってみたいのはアフリカで、サバンナの大自然をこの目で見てみたい。

影響を受けた人、尊敬する人、目標にする人

特定の人ではなく、すべての人との出会いに得るものがあると感じている。

一番大事にしているもの

家族と友人


楽々さんが描く、理想的な社会とはどんな社会ですか?

戦争や犯罪など暴力の無い社会、子どもがのびのびとできる社会です。バンダイに入社して、子どもがおもちゃで遊ぶ光景は見ていて心が和む平和な光景だと改めて思いました。一方世界には、マシンガンを持たされ戦場に送られる子どもたちもいます。同じ手にしているものがこうも違う現実には心が痛みます。象徴的な表現ですが、世界中の子どもたちが武器ではなくおもちゃを手にすることができる社会が、私が描く平和な、持続可能な社会です。もともとおもちゃは、その時代時代を映してきました。

日本でも第二次世界大戦中は、戦時物資が優先されて、ブリキや鉄製のおもちゃは作れませんでしたし、おもちゃといっても鉄兜や鉄砲のようなものが多かったんです。戦争が終わり平和が訪れると、それがメンコやベーゴマに代わっていき、今に至りました。今は日本にとって良い時代だと思います。ただ、欲を言うと、これからはもっと親子で一緒に遊んで欲しいですね。私たちとしても親も一緒に遊べるようなおもちゃの開発に努めたいと思っています。

どうすれば、この理想的な社会を築いていけると思いますか?

理想的な社会は一、二世代では築けないと思います。歴史的にも地上に争いが存在しなかった時代はないわけですから。ただ、理想に近づくために、100年単位で先を見据えて、今からしなくてはいけないことがあるはずです。私は、それはやはり教育だと思っています。そして、自分の時代よりも次の世代、更にその次の世代を平和なものにしてゆけるよう大人が子どもにできることは、特に幼児期に注げる限りの愛情を注ぐことだと私は思うんです。実際に、3歳までにたっぷりと愛情をかけられた子どもは悪く育たないと言われていますね。皆がそれを踏まえて子どもと向き合えたなら、社会は少しずつ良くなっていくのではないでしょうか。

このように考えるようになったのは、自分自身の体験が多分に影響しているのですが、私は1970年に社会に出て、高度経済成長の時代を生きました。いわゆる家庭を顧みずとも仕事に没頭してきた世代ですね。今、子ども向けの製品を持つ会社に身をおいて、また、プライベートでも、孫と接する機会が持てたことで、子どもとのコミュニケーションの大切さを痛切に感じています。抱きしめることもコミュニケーションですよね。それがいかに大切か皆がもっと知るべきですし、特に父親には、なんとかもっと子どもとの時間を割けるようになって欲しいですね。

今の仕事をしていく上での喜びと、逆に難しい点は?

もともと好奇心が旺盛なので、現在の職務上、これまで触れたことのないものやお会いする機会のなかった分野の方、例えば美術館や博物館の館長さんなどに出会えることは驚きと発見に満ちた素晴らしい経験になっています。それが喜びです。会社に感謝ですね!難しい点は、一営利企業が、利益を生むとは言い難い活動を維持してゆくことそのものです。私たちが所有しているコレクションは、文化財として後世に伝えてゆくべきものです。もちろんそう考えるからこそ行っている活動ですし、営利を目的とする企業とはいえ、社会に対する責任を果たす意味で必要なことと認識もしています。が、時として荷が重いと感じることがあるのも事実です。

例えば私たちの所有するエジソンの発明品などは、日本の宝と言っても過言ではなく、所有こそバンダイという一企業がしてはいますが、社会的に共有してゆかなくてはならない財産です。責任を一手に引き受けてすべての管理を一社で行うよりもむしろ、国や行政あるいは他の企業とこの価値を分かち合えたら、できることも増えてどんなに素晴らしいかと思います。ところが、なにぶん資金が必要な上、利益に結びつくとは言えないことです。賛同を得るのは簡単ではありません。

今の仕事を始めてから体験した印象的なエピソードはありますか?

バンダイの保有するエジソンの発明品コレクションは、2003年9月に日本にやってきました。アメリカのロサンゼルス在住の日系一世で、特許弁護士でありエジソン研究家であるH.幸田氏と、W.アンドローラ氏が長年収集していたもので、数量で世界3番目、質的には世界一と言われています。取得に際しては、いくつかの企業や大学、ミュージアムも手を挙げていたのですが、なぜその中でバンダイに決まったかと言うと、幸田氏が、理科離れが進んでいるという祖国日本の子どもたちに、エジソンの偉大な発明品を通して科学の面白さや発明家の情熱に触れてもらいたいと強く願っていたからなんですね。

子どものための事業を行うバンダイなら、子どもたちがこのコレクションに触れる機会をより多くつくれるだろうと期待して、私たちを選んでくれたのです。私は実際にロスに赴き幸田氏にお会いしましたが、日本の子どもたちの将来について、並々ならぬ思いをお持ちで、むしろ実際に今日本で暮らしている私たち日本人よりもその思いは深いと感じました。そんな思いと共に託されたのですから、余計に責任重大だと思いましたね。

こうしたらもっと社会が良くなる、というアイディアはありますか?

ひとりひとりが良くなれば、社会はきっと良くなりますよね。システムや法律に頼るには限界があり、仮にうまく機能したとしても、それだけで世の中が良くなるものではありません。

繰り返しになりますが、前述した子どもの教育は重要なキーになると思います。小さな積み重ねこそが社会を良くするのだと考えるからです。

担当者になってから、自分の意識や生活の中で変わったことはありますか?

美術館や博物館に足を運ぶことが非常に多くなりました。以前の私は、海外旅行の際、例えば大英博物館だとかルーブル美術館など観光コースに必ず含まれるような有名な施設を訪れる程度で、国内の施設に至っては自分でお金を出してまで行くことは皆無でした。それが今では大小問わず、ほとんど片っ端から見てまわっているに等しい。その頻度は他人に自慢できるほどですね!こんなにたくさんあったのかと思うほど、どうも目につくようになっちゃって。夫婦で国立科学博物館に行き、一日中恐竜について見聞を深めたこともあります(笑)。恐竜なんか興味が無いと渋っていた妻をだましだまし連れて行って・・・結局とても面白かったらしく、「また来よう!」と喜んでましたけどね。

私も最初は仕事上勉強になると思い、こうした施設を努めてまわるようにしていたのですが、いつの間にかはまってしまいました。興味の分野が広がって、雑学的知識も深まりますし、もともと旺盛な好奇心を刺激されます。お陰でゴルフ場からはめっきり足が遠のきました。と言いましたが、ゴルフをする時間がなくなった要因は他にもありまして・・・孫ができて、可愛くてねぇ、ゴルフよりそっちの方が良くなってしまいました(笑)。いずれにしても、三十代、四十代の頃には想像もつかなかったことですね。

社会に伝えたいメッセージをどうぞ!

一言で言うと「愛」なのだと思います。ひろく人類愛、でしょうか。人を信頼し、人を愛することです。人間はひとりでは生きられないとよく言いますが、人と人との関わりは本当に大切で、また、社会がその中に愛を含まなくなったとしたら、その社会は崩壊すると思います。戦争も犯罪も、愛が欠けてしまったことの結果ではないでしょうか。

生きているといろいろなことがあります。私の人生も例外ではなく、苦難もありました。そんな人生の様々な局面で、最終的に何が問題を解決してくれるのかというと、家族や友人をはじめとする人との信頼関係、そして愛に他ならないのです。愛が無くなったらお終いだと思いますね。

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