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大薮克実

vol.60


PROFILE

ピジョン株式会社
執行役員
経営企画本部 IR室担当

現在の会社での経歴と担当している主な活動

1976年 ピジョン(株)入社。
営業部門でベビー用品、介護用品の企画営業を担当。
その後商品マーケティング、人事採用、経営企画・広報等を経て現職。IR、PR活動を統括している。
20年来実施している「赤ちゃん誕生記念育樹キャンペーン」の中心的存在。

家族構成

妻と息子(社会人)・娘(一児の母親)

趣味

ゴルフ、野球(高校・大学で野球部。現在も地域のソフトボールチームに所属)、スキー、読書。休日には、自治体の体育指導員としてさまざまなスポーツを地域の人々と楽しむ。幼児から高齢者まで参加者は幅広い。

好きな国or行ってみたい国

ハワイは何度行っても好き。気候が良く自然が豊かでくつろげる。

影響を受けた人、尊敬する人、目標にする人

小学校5、6年の時に担任だった女の先生。特に文章を書くことの大切さを教えてくれた。厳しかったが、自分も両親も尊敬していた。最近出会った方では経営コンサルタントの田口佳史先生。企業経営を造詣の深い中国古典になぞらえ、対立競争や自社単独発展の時代は終わったと説いている。如何に戦わずして勝つかが重要という孫子の考え方など、ビジネスのみならず人生全般に役立つ考え方に感銘を受けた。

一番大事にしているもの

家族


大薮さんが描く、理想的な社会とはどんな社会ですか?

社会の中の企業にフォーカスして述べると、企業の主なステークホルダーである社員と株主と顧客の三者とバランス良く対話ができていることが重要だと考えています。優先順位をつけて一者に偏っては弊害が出ます。そして忘れてはならないのが、その対話の中身が正直であることです。ここのところ企業による数々の不祥事が明るみに出ましたが、そこから学ぶべきものはまさに、企業も誠実で正直であるべきだということです。隠すこと、これが一番いけない。隠すことは自分本位な行為ですから、かならずしっぺ返しがきます。我々は主に育児用品を製造販売している会社ですが、昭和44年に当社の乳首から微量のホルマリンが検出され、大きく報道された経験があります。ごく一部の製品ではありましたが、赤ちゃんが直接口に入れるものから検出されたことで、ピジョンはもう駄目ではないかと噂されもしました。信頼を取り戻すことができたのは、謝罪や回収等、対応を直ちに行ったのに加え、それを機にお客様相談室の整備を始めとしたCS に本気で着手したことによるものだったと思います。

当時のピジョンの事業規模を考えると、先進的な取り組みでした。もうひとつ、自然環境と共存できる経済活動の為され方もまた求められていますが、これらはどちらも思いやりに通じるものだと思うのです。思いやりのある企業が経済の担い手になるような社会が持続可能な社会で、これからは、思いやりをつないでいくことに心を砕ける企業こそが生き残っていける時代だと考えています。CSRがクローズアップされているのは時代の流れだと思いますが、これまであえて表明されていなかっただけで、企業にはもともと存在した概念で、実践もしてきているはずなんです。企業の提供するモノとサービスの中には、CSRが組み込まれていて当然です。私たちも事業そのものがCSRだと思っています。

どうすれば、この理想的な社会を築いていけると思いますか?

少子化の問題とともに、子育てについてもずいぶん論議されるようになりましたが、10年前から保育・託児等の子育て支援事業を行ってきた経験からも言えるのは、子どもにとって必要なのは、「十分な愛情を受けること」に尽きるということです。とりわけ乳幼児期は重要で、この時期にしっかりと肌で愛情を感じてさえいればその子が成長して親になった時に、子どもに対して同じように愛情を注ぐことができるようになるのです。しかし現代では、ことさら“教育”を押し付けられ、がんじがらめになっている子どもがいかに多いことか。幼児虐待の問題など昔はほとんど存在しなかったと言って良いでしょう。それが今はどうですか?母親自身が乳幼児期に受けた愛情が欠けていたことが自分の子どもを愛せない原因かもしれません。

一方で、仕事を持ちながら子育てする女性は確かに大変で、母であり妻であり女性である苦労は多大なものです。ですから、私たちの保育士によって、子どもたちが受けることのできる愛情を少しでも補えたらと思っています。これは簡単なことではありませんが、非常に重要な仕事だと思っています。企業にも思いやりが大切だと述べましたが、企業を含め将来を担うのは子どもたちです。だからこそ、子育ての現状を改善しなくてはいけないと思っています。

今の仕事をしていく上での喜びと、逆に難しい点は?

お客様相談室には一日あたりの電話が200〜300件あります。多くは商品についてで、使い方やどこで買えるかのお問い合わせですが、クレームを頂戴する場合もあります。企業の活動にも、間違いが生じる場合があります。もちろん、あってはならないことですが、現実に引き起こしてしまった時には、やはり隠してはいけません。IRや広報の担当者として、マイナスの情報を外に出すのは辛いことですが、お掛けするご迷惑を最小限に留めるために必要なことですし、都合の良い情報のみを発信する企業は信頼を得ることはできません。喜びの方は、お役に立てていることを実感できることですね。私たちは、妊娠から子育てに至る女性をサポートする目的で、pigeon.infoというコミュニケーションサイトを運営していますが、年間112万人しか子どもが生まれない世の中で、ひと月のページビューが1300万くらいになりました。

核家族化が進み、ちょっとした疑問や悩みを解決してくれる先輩ママが側にいない現代のお母さんの不安を表しているのでしょう。以前一度、このサイトの会員さんのためのオフ会も開催しました。参加者を募集をしたところ、なんと1500名の希望がありまして、その時は仰天しました!皆さんがベビーカーで押し寄せるシーンを想像して、うまくいくか心底心配になりましたが(笑)、お陰様で無事成功しました。妊娠、出産、子育ての時期を、できるだけ豊かなものにするために役立つイベントはいろいろ実施してきていますが、これだけニーズがあるのですから、お役に立てていると思うと嬉しいですね。

今の仕事を始めてから体験した印象的なエピソードはありますか?

1987年に現会長の発案で始めて以来毎年、茨城県常陸大宮市(旧那珂郡美和村)の国有林において、「育児」と「育樹」を掛けた、『赤ちゃん誕生記念育樹キャンペーン』を実施しています。これは、赤ちゃんの誕生を記念して、その家族に植樹をしてもらい、植えた木をピジョンが維持管理していくというものです。木も赤ちゃんも周囲の愛情に守られて育つという考えのもとに、森林保護と赤ちゃんの誕生とを関連付けて行っている活動です。これまでに全国から 76,500名の赤ちゃんの記念植樹がなされ、総面積は東京ドームの6倍近くになりました。水質浄化やCO2吸収等、環境への貢献から、昨年は林野庁から表彰されたんですよ。また、最初は活動の継続に半信半疑だった地元住民の方々に、今ではすっかりお馴染みになり、共同でイベントを実施することもあります。

お陰様でその地域でのピジョンの知名度は抜群ですし、活動に立ち上げから携わっている私も相当な有名人です(笑)。2度の山火事に見舞われながら、奇跡的に大事に至ることも無く、来年で20年目です。最初の赤ちゃんが成人を迎えると思うと感慨深いものがありますね。20年ともなれば、木もずい分成長しますので、森林を健全に保つために間伐する必要が出てきますが、成長した木を見に足を運ぶ方もいらっしゃいますし、ただ切ってしまうのは申し訳ないので、ログハウスを作り、その中に全員のお名前を記しました。

こうしたらもっと社会が良くなる、というアイディアはありますか?

好景気の時は多くの企業がメセナ活動に取り組んだり、寄付活動も活発になりますが、余裕がなくなると、それどころか、すぐに社員のリストラですよね。

ピジョンはこれまで、リストラは行わない方針できました。社員への思いやりが顧客への思いやり、株主への思いやりにも通ずるものだと思います。

担当者になってから、自分の意識や生活の中で変わったことはありますか?

植樹キャンペーンに携わるようになって、地域に貢献することの大切さを再認識するようになり、プライベートでも、自分が住んでいる地域の役に立ちたいと考えるようになりました。

そこで、得意のスポーツを活かし、市の体育指導員になりました。ソフトボールチームをつくったり、冬には子どもたちをスキーに連れて行ったり・・・妻に怒られながらも(笑)、週末は家を空けてほとんどこれに時間を割いています。

社会に伝えたいメッセージをどうぞ!

ピジョンの経営理念は「愛」です。「愛を生むは愛のみ」というのが社是でもあります。商品にしろサービスにしろ提供するもの全てに「愛」は共通して欠かせないものです。

また、私たちの事業で言うと育児にもそれが当てはまる場合がありますが、誰にでも自分の力だけではどうしようもないことがあります。助けを必要としている人にはできる手助けをしたいですよね。

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