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藤野志穂

vol.57


PROFILE

オリンパス株式会社
CSR本部 環境推進部 主任

現在の会社での経歴と担当している主な活動

2003年1月入社以来環境推進部に所属し、環境レポート製作、エコプロダクツ展出展企画・運営などの環境コミュニケーション業務、ISO14001社内内部監査員養成講座講師等、環境教育に関する業務、海外拠点環境担当者との連絡窓口を務める。

家族構成

両親

趣味

昨年から始めた乗馬に夢中

好きな国or行ってみたい国

1年間滞在した経験のあるアイルランド。大学で西洋史を学んで遺跡に魅せられるようになり、発掘に関わる仕事に就いたほどなので、そこかしこに遺跡のあるアイルランドは最高の地だった。政治上、宗教上の衝突を抱える国でもあるが、自然の素晴らしさと人々のあたたかさには忘れられないものがあり、何度でも訪れたい。

影響を受けた人、尊敬する人、目標にする人

苦境の中でも信念を貫き通す人

一番大事にしているもの

好奇心と信念


藤野さんが描く、理想的な社会とはどんな社会ですか?

「私たちの生活は地球環境と調和してこそ成り立つのだ」という価値観の下につくり上げる社会だと思います。企業も個人も、環境にまったく負荷を与えることなく存続させようとするのは現実に即していませんが、もっと負荷を減らす余地はあります。近年ではそのために企業も様々な努力をしていますが、個人としても見直せることがあります。私自身の生活を振り返ってみると、歩ける距離に買い物に出かけるのにも車をつかってCO2や排気ガスを増やしていました。そんなちょっとしたことの積み重ねが、地球環境に対し避けられたはずのダメージを与えていたのだと反省しています。

ダイエットに例えるとわかりやすいのですが、人間の身体も余分なものをどんどんため込んでいると不健康になり、それによって寿命を縮めてしまうことがあります。今地球は、要らないものを蓄えるだけ蓄えている危険な状態です。なんとかダイエットで私たちの生活や企業の事業活動から出る負荷をなくし、地球を健全な状態に保てれば、私たちの生活と地球環境の調和がとれるのではないかと思います。

どうすれば、この理想的な社会を築いていけると思いますか?

ひとり一人の環境に対する姿勢が大切だと思います。地球環境というとスケールが大きすぎて、自分ひとりが頑張ってもどうしようもないと感じがちですよね。私自身、かつてはそうでした。それで結局無頓着になってしまう。けれど、そんな後ろ向きな精神ではもはや持続可能な社会など築けないと思うのです。個人個人がそのことに気づき、できることに手をつける。つまり何か行動を起こすことが重要だと思います。もちろん、企業の担う部分も大きいです。企業は皆様が必要とする商品やサービスを提供し、社会に貢献してゆかねばなりませんが、モノをつくる以上、環境負荷をゼロにするのは、少なくとも現在の技術では不可能です。

しかし環境負荷を減らす努力、例えば製品の材料を調達するところから廃棄するまでにおいて環境への負荷を減らしたり、お客様が使用する時にエネルギーがかからない製品や、リユース・リサイクルができる環境に配慮した製品をつくることはできます。また、もうひとつ重要なのは、企業がこのような製品への環境配慮をお客様にしっかりと伝えることなのだと思います。環境に配慮した製品の方がお客様の支持を受けるなら、世の中に環境に配慮したものをつくる企業と環境に配慮した製品を使う人がどんどん増えるでしょう。そうした消費の好循環を創出できれば、持続可能な社会に近づけるのではないでしょうか。

今の仕事をしていく上での喜びと、逆に難しい点は?

環境レポートや展示会など環境コミュニケーションに関係する仕事に携わり、2年になりますが、レポートや展示会を通じてオリンパスの環境取り組みを皆様にお伝えし、皆様からご意見・ご感想をいただき、それをまた改善につなげてゆく。このことは、オリンパスの取り組み改善だけではなく、最終的には皆様といっしょに地球環境を改善しているのだと思うと、スケールの大きい、とてもやりがいのある仕事だと思います。

一方難しい点は多々あり語り尽くせないほどですが(笑)、その中でも担当者としてジレンマなのは、オリンパスでは環境調和経営に取り組んでいて、経営者も頻繁に環境について発信していますし、全社的にかなり浸透していると思います。しかし、環境がいかに大切かわかっていても、企業活動の中では、どうしてもコストと天秤に乗せられ、結果プライオリティが下がるケースが出てくることがあります。良いとわかっていながら実行できない時があると、担当者としてはやはり歯がゆいですね。

今の仕事を始めてから体験した印象的なエピソードはありますか?

昨年のエコプロダクツ展で小中学生向けの環境教育を企画しました。専門家の方に、水の中の微生物から大型動物までの食物連鎖のお話をしていただいた後、オリンパスの顕微鏡で微生物を観察してもらうのです。それが大成功で、すごく盛り上がり、顕微鏡を覗いて子供たちは歓声を上げていました。

素晴らしかったのは、「水の中にこんなに生き物がいるだなんて知らなかったよな。こんなにいろいろ生きてるなら環境を大事にしなくちゃダメだな」と子どもたちが話していたことです。これには感動しましたねぇ。自分の会社の環境配慮製品を使って、子供たちに環境について何か考えるきっかけを与えられたことは、本当に嬉しかったです。

こうしたらもっと社会が良くなる、というアイディアはありますか?

より多くの人が、環境問題を身近なこととして捉えるようになるために、学校や地域社会、あるいは企業が学べる機会を提供できると良いと思います。私は八王子に住んでいますが、先日地元で「環境まつり」というのが開催されると知って、興味を持ち行ってみました。すると、市内を流れる河川の水質や幹線道路付近の大気汚染の調査結果を展示したり、説明員の方が解説してくれたりしていました。来場者のほとんどが地域の住民です。自分が暮らす町ですから、川や空気が汚れているという事実は切実な問題です。みんな非常に熱心に見入ったり、質問したりしていました。また、八王子のオリンパス技術開発センターでも、今年の 2月に八王子市の環境課の要請に応じて、地域住民の方々に事業場の環境設備を見学していただき、地球環境問題やオリンパスの環境取り組みなどを紹介させていただきました。

皆様には私たちが廃棄物や排水をどのように管理しているかといったことに大変興味を持っていただいたようです。環境にダメージを与えるとめぐりめぐって自分に返ってきます。しかし、こうして、環境のことを自分にとって差し迫った問題として考える機会は意外と少ないように思います。こんなに汚れてしまった近所の川をどうしたらきれいにできるのか、そう考えるに至った人は、自分が出す生活廃水を気にするようになるかもしれません。今まではそのまま流していたお鍋の油汚れを、新聞紙でふき取ってから洗い流すようにするかもしれない。そして今度はもう少し多様な環境問題に関心を持つかも知れないのです。ですから、きっかけづくりをすることが大切なのです。

担当者になってから、自分の意識や生活の中で変わったことはありますか?

変わりましたねぇ。オリンパスでとことん教育されましたから!環境推進部のメンバーは徹底していて、省エネやリサイクルはもちろん、食事の際も“廃棄物ゼロ”を目指して食べ残さないようにしています。と言っても・・・これだけ語った挙句に白状するのは本当に恥ずかしいのですが、入社以前の私は、地球に起きていることや、それが自分にどう結びついているのかについて無知に等しくて、先ほどもお話したように、近所でも車に乗って出かけるし、電気はつけっぱなしだし、ゴミの分別もきちんとできていませんでした。

今思えばやりたい放題で、毎日のように母に怒られていました!「こんなだらしのない子に育てた覚えはない!」って(笑)。けれどさすがに今は、その母にも人が変わったんじゃないかと思われるほど意識するようになりましたね。これに関しては家庭内で立場が逆転しまして、現在では私が家族を教育するべく、口うるさく注意しています(笑)。

社会に伝えたいメッセージをどうぞ!

地球環境のことは、私たちが今一番真剣に考えなくてはいけないことのひとつです。例えば、あるデータによると、地球上では一分間に30ヘクタール、年間にすると北海道と九州を合わせたぐらいの面積の森林が消滅しているそうです。原生林は2050年までにすっかりなくなってしまうという説さえあります。自然の森がなくなるなんて考えたくもないですよね。

森がなくなるということは、そこに住む生き物もいなくなるということですし、雨が降れば土壌は流れ出しますし、一度失ってしまえば、栄養分のない痩せた土地に再び森を蘇らせるのがどれほど難しいことか。私は、こうしたことに社会の8割の人が危機感を持ちできること・すべきことを行動に移せば、より私たちの生活が地球環境と調和してゆくと信じています。

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