クリックで救える命がある。

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緒方大助

vol.55


PROFILE

らでぃっしゅぼーや株式会社
代表取締役社長

現在の会社での経歴と担当している主な活動

福岡大商学部中退後、飲食店経営会社勤務、青汁のキューサイ(株)での開発部次長などを経て2000年1月、らでぃっしゅぼーや蠡緝充萃役社長に就任。
食を通じて未来を守る仕事に情熱をかける毎日を送っている。

家族構成

趣味

趣味にのめりこむタイプではないが、しいて言えばスノーボード、ダイビング、食べ歩き。

好きな国or行ってみたい国

日本以外では、スローフードの発祥地であるイタリアや、パワーが落ちてきた時に行くと元気をもらえる東南アジアの国々が好き。

影響を受けた人、尊敬する人、目標にする人

経営者として目標とするような人物は数人いるが、基本的には「我以外みな我が師」と思っている。

一番大事にしているもの

志。経営者としてのスピリットを忘れずに貫くこと


緒方さんが描く、理想的な社会とはどんな社会ですか?

切り口は様々ありますが、いろいろ言うと論点がぶれてしまうので、やはり僕は「食」にしぼってお話します。当社は、1988年から全国約7万世帯のお客様に、約2600軒の環境保全型農産物や無添加食品を宅配する企業です。その経営者として、生産する人、流通させる人、そして消費する人のすべてが、食べ物の持つ役割を心の底から真剣に考える社会でなくてはならないと思っています。我々は食べることで命をつないでゆきますが、つないでいるのは今この時の命だけではなく、将来にわたる命、ひいては次世代の命でもあります。食べ物は生命そのものなのです。

人間が地球の運命を左右しうる唯一の生き物だとすれば、その人間が心身ともに健康であることは、個人的な課題にはとどまらない重要性を持っています。未来永劫社会を持続させていくために、また、人間も環境の一部だというとらえ方をするならば、地球環境を疲弊させずに受け継いでいくという観点からも、適切な食べ物を適切にとることで健やかな命を未来に伝えていくことは、今を生きる僕らすべてに与えられたミッションではないでしょうか。

どうすれば、この理想的な社会を築いていけると思いますか?

後60年余りの間に、日本人の食生活は大きく変わりました。世界的に見てもここまで激変した国はないはずです。壊れた、と言ってもいいのではないでしょうか。60年かけて壊してしまったものを取り戻すには、100年かかるでしょう。特にここ数年で、BSEをはじめとした食に関する問題が次々と出てきました。これまで食の安全性を半ば盲信していた人たちの間にも、少なからず不安や危機感が生まれたのではないでしょうか。自分や次世代、地球環境を健康に保つために、何を食べるべきなのか、真剣に考える時がきています。安全性のほかにもうひとつ言えるのは、食べることがライフスタイルと大きくリンクしているということです。食生活が変わったことで、家族でテーブルを囲む時間が減り、同時に家族団欒の時間が大きく失われました。これほど情報技術が進化した時代です。「便利になって余裕ができた分、大切な人とゆっくり美味しい食事を楽しみたい」という価値観を、もっともっと多くの人が共有したとしても不思議ではないと思いませんか?

食生活からライフスタイルを見直そうという人が増えれば、食べ物を供給する側もその求めに応じなくてはいけません。自ずと、美味しくて、安全で環境にもいい“正しい食べ物”を生産、販売するようになるでしょう。これまで消費者は、知らず知らずのうちに押し付けに応じてきていたのです。ひとつ例をあげると、通常市場に出回るキュウリはすべて20cmから22cmですが、例え美味しくてもこのサイズでなければ食べたくないという人はいますか?これはスーパーの棚のサイズや配送効率の都合で流通が勝手に決めた基準ですが、流通側がこの基準で買い上げるので、生産者もそれに合うものを作らざるをえなくなります。安全性や美味しさよりも、20cmから22cmのサイズであることが優先されるのです。こうしたことがあるから、消費者の方からもっと求めていく必要があるのです。これらはグリーンコンシューマーの理念とも通ずるものですね。

今の仕事をしていく上での喜びと、逆に難しい点は?

難しい点はあまたありますね(笑)!その中でも一番難しいのは、品物の安定供給です。近年地球温暖化などによる異常気象が続いています。農産物のできが天候に左右されるのを、当然と言ってしまえばそれまでですが、僕らは、穴埋めのための代替品をすぐに調達して来られるような商品は扱っていないので、ビジネスとして機会損失になりますし、欲しいと言ってくださるお客様に対しては本当に心苦しい。

何とか全国各地で産地の形成のために努力しているものの、天候によるリスクを完全に回避するのは不可能です。ただ、お陰様でお客様は増えていますし、産地での技術の向上が目に見えてわかったり、収穫量が増えたりと、嬉しいこともたくさんありますね。何より、自らの志に背くことなく仕事に没頭できるということは、経営者としてこの上ない喜びです。

今の仕事を始めてから体験した印象的なエピソードはありますか?

生産者の方々にお会いする機会が多いのですが、当社の契約農家の方と初めてお会いした時は、その前向きな姿勢に驚きました。僕は前職でも農家と関わっていましたから、日本における農業をとりまく状況の厳しさは知っていましたし、農業に従事する方への一定のイメージがありました。実際に、日本中にある夥しい耕作放棄地がそれを示しているように、農家の大半は経済的に苦しんでいます。EU諸国のように国をあげてバックアップするような農業政策があれば変わるに違いありませんが、日本では残念ながら、ある意味で農業に絶望しているような農家が多いんです。それに対し、らでぃっしゅぼーやの契約農家の方々は、こちらが面食らうほどポジティブで覇気に満ちていました。

後継者も若くてかっこいい!契約により収入が安定しているからこそではありますが、もともと契約ありきではなく、彼らが先に有機農業に取り組んでいたから、契約するに至ったわけです。日本における有機農業の割合はまだ1%にも満たないと言われています。原因は前述した農業行政にもありますし、日本は気候的にも難しい条件下にあります。契約農家の方には今に至るまでにも大変な勇気と努力が必要であったはずです。彼らのいきいきとした姿には21世紀の元気な農業のあり方を見るような思いがしますね。

こうしたらもっと社会が良くなる、というアイディアはありますか?

教育の充実をはかることにより、次世代の子どもたちが自然と正しい食べ物を選択できるように育ってくれればと思います。先ほども述べたように、日本の自給率の低さは構造的なものに起因していることが多い。ただし、有機や低・無農薬野菜にこだわる人たちには、一昔前までは、「環境を守るため」だとか「農家を買い支えるため」という意識の高い、言ってみれば左脳で選ぶような方が多かったのに対し、現在はシンプルに「美味しいから」というところから入る方がずいぶん増えたんですね。

こちらは右脳の選択ですよね。消費者の裾野が広がってきた証拠だと思い歓迎しています。子どもは本来味に敏感で、7歳までに食べたもので味覚が決まると言われています。それまでに本物の味を教えることは大事なことなんですよ。やっと食育基本法もできますが、制度を整えることで前進することは多いですから、行政にも大いに期待しています。

担当者になってから、自分の意識や生活の中で変わったことはありますか?

野菜を食べることが多くなりましたかね。もともと自分でも料理をする方なので、いろいろ作ります。

ちょっと余りそうになるとミキサーにかけてスープにしたりしてね。

社会に伝えたいメッセージをどうぞ!

「正しいものを、食べましょう」この一言です。

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