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大川哲郎

vol.51


PROFILE

株式会社大川印刷
専務取締役

現在の会社での経歴と担当している主な活動

1993年入社。
1881年創業という長い歴史を持つ印刷会社において、本業を通じて社会に貢献する「ソーシャルプリンティングカンパニー」を目指し、環境のみならず、高齢者や障がい者にも配慮した印刷物を提供する。

家族構成

趣味

音楽。特に黒人音楽が好きで、ギターは自分で演奏もする。二十歳くらいの時にはブルース好きが高じてアメリカ南部を旅した。当時は人種差別がまだ色濃く残っており、日本人の自分も心無い言葉を浴びせられることもあった。そんな旅の中で出会った黒人の人たちのあたたかさは今も忘れない。

好きな国or行ってみたい国

昆虫から動物まで、生き物が好きなので、日本では見ることのできない野生の生き物に会いにアフリカに行きたい。

影響を受けた人、尊敬する人、目標にする人

両親と、これまで出会った「社会起業家」と言われる人たち

一番大事にしているもの

家族と、自分が自分であることへの意識。


大川さんが描く、理想的な社会とはどんな社会ですか?

まず挙げられるのが、戦争のない社会です。その次に、笑顔のある社会、互いを認め合える社会です。互いの立場を知るために、思考したり、学んだり、いろいろな情報を集めたりということを社会全体でしてゆけるのが理想だと思います。至極当たり前のことのようですが、世界にはそれどころではない境遇の人たちもいますし、日本でも実現できているとは言い切れません。

考える、行動する、そしてまた考える。その繰り返しの中で学ぶことが人間の基本でしょうが、学び、知るためには、勇気を必要とする時もあります。しかしこれは互いの理解を深めるために避けては通れない作業です。この作業にみんなで取り組める社会であることが、ひとつの理想の姿なのではないでしょうか。

どうすれば、この理想的な社会を築いていけると思いますか?

私はここ数年、幸せについて改めて考えています。「真の幸福とは何なのか」ひとりひとりが本気で考えることは、持続可能な社会を築くために大切なことだと思います。電車に乗ると、時々がっかりすることがあります。みんな疲れているのでしょうか、生気の無い顔をしているように見えたりして・・・。それぞれにいろんな理由があるには違いありませんが、そんな時は、あまり良い世の中ではないと感じてしまいます。

幸せについて話を戻すと、しあわせとは、昔は「つかえ合う」という意味の“仕合せ”と書いていたことを最近知りました。人は互いに仕え合う(つかえあう)ことで、しあわせを見出すものなのではないでしょうか。相手に仕えることでしあわせを感じるというのは、まさにボランティアの本質ですが、こうしたことに気づく機会を持てるかどうかで、個人の生き方にも差が出てくるように思います。

今の仕事をしていく上での喜びと、逆に難しい点は?

素朴なアイディアや地道な活動を、お客さんに喜んでもらえるのが私たちの喜びです。「こんなことを考えてもらったのは初めてだよ」と言ってもらったり、「良い事やってるねぇ」と感心されたりすると、素直に嬉しくなりますね。また、多くの人との出会いは何にも変えがたいものだと感謝しています。

難しい点は、現在の日本経済における、私たち製造業の置かれている状況そのものなのでしょうが、モノの価値を創造していきたいという私たちの思いに、全ての人が賛同してくれるわけではないですし、価値は理解してもらっても、現実にはそれを受け入れるのが困難な相手側の事情もあります。そうした状況下でなお、会社としての社会貢献というものが必要であるというコンセンサスを自社内でとることにもまた、時として難しさを感じることがあります。

今の仕事を始めてから体験した印象的なエピソードはありますか?

私たちは本業を通じた社会貢献を実践しようとしているわけですが、それが本物なのかどうか問われる状況に出遭い、ドキッとしたことがあります。ひとつは、環境配慮に加えて、できるだけ多くの方々に見やすく使いやすいユニバーサルデザインを取り入れた、オリジナルの卓上型カレンダーをお客様に紹介している時でした。そのお客様が、自分には事故で片手を失った息子がいるので、一度使わせてみましょうとおっしゃったのです。

また、色覚に障がいを持った方々にも配慮した印刷物の制作に携わった際にも、お子さんが色覚障がいをお持ちだという方にお会いしたことがあります。いずれも事情は知らずにご紹介していたのですが、改めて責任の重さのようなものを感じたと同時に、お役に立てることはしていかなくてはならないという思いを新たにした瞬間でした。

こうしたらもっと社会が良くなる、というアイディアはありますか?

住民自らが地域の情報発信に参画していく“住民ディレクター”の試みが、ある地域で成功を収めていると聞きました。素人が作り出していくメディアの、独特の味や面白みが視聴者に受けているのだそうです。メディアに対して受身であることが当たり前になっている私たちにとって、固定概念を覆す興味深い事例だと思いました。

NPOやコミュニティービジネスなど、市民の力が注目されている今、もっとこうした形で、実際にそこに暮らす人たちが主体となって、楽しみながら能動的かつ積極的に関わっていけるような地域づくり、地域活性化が必要とされていると感じています。

担当者になってから、自分の意識や生活の中で変わったことはありますか?

経済一辺倒だった時期を経て、心の豊かさが問われる時代になりました。私たちは多様なつながりの中で生きていますが、「仕合せ」な関係性をどのようにつくっていくべきか、常に意識するようになりました。とは言っても、社員には無理を言うし、妻には苦労をかけるし、私はあんまり実現できてないかもしれないんですけど(笑)。それから、私は大学生の頃、先代である父を急に亡くしていまして、それが医療過誤ではないかと言われたんですね。

当時は訴訟をおこすのも無理だという時代で、諦めるしかありませんでした。このことが、社会に貢献する仕事の基本は、間違いのない仕事なのだと肝に銘じるきっかけになった気がしています。特に私たちは医薬品の添付文書を多く手がけているので、そこを忘れるわけにはいきません。どんな会社も、社会に必要とされ、役立つことで業を成しているのなら、まずは、間違いのない仕事をしなくてはいけませんね。

社会に伝えたいメッセージをどうぞ!

簡単そうでなかなかできないもののひとつに、日常の中での小さなボランティアがあると思います。電車で席を譲るとか、ゴミを拾うとか、小さなことでも構わないので、良いと思ったことは実行しましょう。

「小さな親切大きなお世話」なんて反社会的な標語?がありましたが、あれは良くないですねぇ(笑)。「小さな親切大きなしあわせ」ですよ。

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