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上平諭

vol.44


PROFILE

株式会社大伸社
代表取締役社長

現在の会社での経歴と担当している主な活動

昭和58年3月入社。
その後平成3年1月取締役東京支社長就任。
平成7年2月には常務取締役東京支社長、平成8年11月に専務取締役東京支社長、平成12 年11月に取締役社長に就任。
平成13年5月奈良県大和郡山市矢田町にて「みんなの森植樹祭」を開催。
平成14年1月ISO14001、環境マネジメントシステム(EMS)認証取得。事業の中心は印刷業で主にカタログ製作などを行っているが、企業活動のあらゆる面で地球環境の保全に配慮し、持続可能な循環型社会システムの構築に努めている。

家族構成

妻、娘2人(大学生と中学生)

趣味

サーフィンが30年来の趣味。月に一度はサーフィンで種子島に出かける。

好きな国or行ってみたい国

一番多く訪れているアメリカ。パリの人の気質も人間くさくて好き。)

影響を受けた人、尊敬する人、目標にする人

アウトドア用品のパタゴニア社を創設したイヴォン・シュイナード。「正しいこと」を貫きつつビジネスを成功させている。飾らない人柄で、経営者としても人間としても尊敬できる。

一番大事にしているもの

一語で言うと「honesty」。サーフィンで海に出ていると、物質的なものは全てちっぽけに思えてくる。


上平さんが描く、理想的な社会とはどんな社会ですか?

経営者としては、自分の会社を社会を良くしていくためのツールにしようとすると、経営そのものがより面白くなると信じています。これは、パタゴニア社の創設者、イヴォン・シュイナードの影響によるところが大きいですね。また、ライフスタイルはなるべくシンプルにしていくべきだと思います。僕なんかは、多少の便利さは失ってもいいじゃないかと思っている方です。

「足るを知る」ことですよ。それに、人間がより良くしようと作りこむことで、かえって醜くなるものって多いと思いませんか?エキセントリックになって声高に主張するのは性に合わないので、他人に押し付けようとは思いませんけど、僕は100年前の暮らしの方が美しいと思っていますし、なるだけそれに近づけていくようにした方が人間のためだと考えています。

どうすれば、この理想的な社会を築いていけると思いますか?

日本の場合は官主導ではなく企業が牽引した方がうまくいくのではないでしょうか。だとすると、正しいことをして、きちんと収益をあげていくことさえできれば、社会は間違いなく良い方向に変わっていくはずです。企業が行う以上はビジネスとして成功させないといけませんが、良いことをしながらビジネスを成り立たせるのが困難だというのは、思い込みにすぎません。大伸社はカタログを企画・製作することを主たる事業にしていますが、印刷会社というのは従来、例えば 30,000のカタログを製作した場合、発注元に初回20,000部を納め、残りの10,000部を自社の倉庫で保管します。予備の在庫の10,000部のうち半分の5,000部程度は結局そのまま使われずに廃棄されるのが当たり前になっていました。

そこで私は「最初から25,000部のみ作って計画的に配布しましょう。」と提案しました。印刷会社としては、当然多く作った方が利益になりますが、こんな無駄なやり方は間違っているし、いつか通用しなくなるだろうと考えたのです。これにはクライアントさんの支持も得ることができました。業界で、「大伸社はあんなやり方で業績を伸ばしているらしい。」と噂になると、同じやり方を真似する業者が出てきます。それは、とても良いことだと思うのです。私もかつて、イヴォンに影響されて、パタゴニアの真似したものですが、こうして、小さなことからでもひとつひとつ良い連鎖を作っていくことが大切です。

今の仕事をしていく上での喜びと、逆に難しい点は?

実は、あまり環境、環境と言いたくはないんですよね(笑)。仕事柄、デザインの持つ力をよく知っていますから、提供されるサービスなどを含んだ広い意味での「デザイン」によって、多くの人に気持ち良くなってもらうことが私の喜びです。

環境のことも、対策というよりは、そういった一連の「デザイン」のひとつだととらえています。逆に難しいことですか?楽しんでやっているので、特にないですね。もともと楽天家なものですから(笑)。

今の仕事を始めてから体験した印象的なエピソードはありますか?

主にオフィスで使用されている、事務用の家具類がすごい産業廃棄物になっていると知り、2000年に「エコプロジェクト」を立ち上げて100%リサイクル可能なものを作りました。自分たちが日常使うものくらいは、そういうものにしたいじゃないですか。

パーティクルボードとアルミのフレームを組み立てて作ったシンプルなデザインのもので、デスクから会議用のテーブルまで、大きさのバリエーションも自由です。ドイツのオフィス家具の展示会にも出展したんですよ。なかなか評判が良くて、日本インテリアデザイン協会の賞もとりました。

こうしたらもっと社会が良くなる、というアイディアはありますか?

大人がもっとしっかりしないといけませんね。日本人には特に、人生を楽しむゆとりが欠けていました。就職しない若者が増えて問題になっていますが、子どもは大人を見切っているんですよ。「頑張ったってせいぜいあの程度」という風に。大人や社会の中に夢を見れないのでしょう。社会も人生も、自分の力で変えていくことができるとか、つくっていけるということを、大変なこともあるけれど、面白いんだということを、見せていかなくてはいけない。これまで世の大人は「社会はそんなに甘くない」と子どもたちにさんざん言ってきましたが、政治家にしても企業にしても、ニュースを見ていればいい加減なことばかりじゃないですか。

子どもにだってバレてますよ。「大変大変って言ってるけど、お父さんの会社なんていい加減じゃない」ってね。子どもに対しても、正直であるということが最も大事だと思うんです。いつもカッコつけている必要はないし、いつも正しくなくてもいいから、本音で生きているところを見せていけば、子どもは自ずと感じ取ってくれます。

担当者になってから、自分の意識や生活の中で変わったことはありますか?

特にないですね(笑)。奈良の吉野に生まれ育ったので、物心ついた頃から自然と親しんできたように思います。

大人になってからは趣味のサーフィンを通して、やはり自然の素晴らしさを直に感じて来ました。実際に自然とかかわりを持つことは、セミナーで学ぶことの何倍もの学びを与えてくれると私は思っています。

社会に伝えたいメッセージをどうぞ!

「Do the right thing」ということだと思います。今は社会の中で相互の信頼性が失われていますよね。市民は政治家を怪しいと思っているし、政治家は庶民を信じていない。大人は子どもがわからないし、子どもは大人を信用していない。

この社会の中に信頼関係を取り戻すために、大上段に社会全体がどうのと言うのではなくて、最低限、自分たちの手が届く範囲から正しいことをしていこうじゃないですか。

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