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横井信宏

vol.40


PROFILE

株式会社サトー
取締役
専務執行役員
CSR室長
一級建築士

現在の会社での経歴と担当している主な活動

平成8年11月 入社。平成11年4月 業務企画本部企画部長、平成12年6月国内営業本部管理部長、平成13年7月業務改革推進部長、平成14年6月物流本部長兼企画管理部長、平成14年6月取締役物流本部長兼企画管理部長、平成15年6月取締役専務執行役員物流本部長兼企画推進部長を経て、平成16年4月より取締役専務執行役員CSR室長を担当する。

家族構成

妻、娘2人(大学生、高校生)

趣味

ヨット、茶道

好きな国or行ってみたい国

好きな国は第二の故郷といえる米国。行きたい国は前職で赴任したパレスチナとイスラエル。仕事を引退したらヨットで南洋諸島を周りたい。

影響を受けた人、尊敬する人、目標にする人

両親と日米大学の恩師

一番大事にしているもの

家族と自分の時間


横井さんが描く、理想的な社会とはどんな社会ですか?

人それぞれがいろんな考え方、アイデンティティ、個性、文化を持つこと、これが「多様性」だと思います。僕はこの言葉がとても好きなのですが、この「多様性」を容認できる社会が理想的な社会ですね。

争いや紛争、その他世界の各地で抱える多くの諸問題の根底には、お互いの立場などの「多様性」を許容できない、そんな視野の狭さがあり、つまり異なるものを圧殺しようとすることの延長線上に戦争があるのだと思っています。お互いを認め合える寛容さがなければ持続可能な社会を築くことはできないでしょう。

どうすれば、この理想的な社会を築けると思いますか?

視野が狭い人たちの社会とは、議論ができない社会という意味でもあるでしょう。自分の思想、アイデンティティに正直であることは大切です。しかし、人の数だけ相手にも同じように持論がある。自分の論だけを自分の真実として他を排他的に攻撃するのではなく、他の意見を聞き、疑問点を論じ合うことが問題解決と「多様性」の容認につながると考えています。自分の思想や発想に対して正直で一生懸命な人ほど原理主義的になってしまう傾向がありますが、それは非常に残念なことだと思います。皆が同じような発想しかしなくなると、社会は活力を失うことになるのですから。

議論を交わし、お互いに刺激し合いながらつくられる社会こそが、持続可能な社会になりうるのだと思います。また、前職でODAに関わる仕事をしていて、いくつかの国に駐在した経験がありますが、途上国は当然、「もっと豊かになりたい」と願い、経済大国に憧れ、そこを目指すわけです。一方、環境問題で行き詰まりつつある先進国は、彼らが発展する過程で地球の環境問題がいよいよ深刻になることを恐れますから、それを抑えたくなります。先進国のエゴですよね。先進諸国は、持続可能な発展のためのノウハウを途上国と共有し、共に成長できるよう努力をしなくてはいけません。

今の仕事をしていく上での喜びと、逆に難しい点は?

CSR活動の促進が、持続可能な社会の実現につながる、という意義自体が自分にとっての喜びです。CSR活動の一環として、女性従業員の雇用環境の改善を進めています。男性、女性のそれぞれの多様性を平等に評価することは持続可能な社会、そして企業にとっても重要な考え方だと思うからです。結婚や出産を経ても女性が順調にキャリアを伸ばしていける環境を整備しないと、女性の管理職や経営幹部の数は増えていきません。世の中の半分が女性なのですから、多様性の半分を最初から失うような状態は改善すべきです。

女性に限らず、個人の自己実現と企業の持続可能性、さらには社会の持続可能性がシンクロした社会を実現できれば、これに勝る喜びはありませんね。一方の難しさは、今述べたようなことを総論としては理解しながらも、自身の問題として認識しない人間が多いことですね!(笑)CSR活動自体はすぐに利益と直結するわけではなく、数字的観点からでは理解されにくいので、どのように啓蒙し意識改革を図るか、推進側の力量が問われるところですね。

今の仕事を始めてから体験した印象的なエピソードはありますか?

CSRの担当取締役になった時点では、何をどこからどう始めようか皆目見当がつきませんでした。先行する企業のCSR担当者や、SRIファンドのファンドマネージャ、社会環境調査機関の方達にコンタクトを取りお話を聞かせていただきました。SRIファンドのスクリーニング項目が当初は非常に気になっていたのですが、スクリーニングの当事者である社会環境調査機関の方から、「スクリーニング項目への対応より、本業を通しての社会貢献に重点を置いた推進を考えるべき」とアドバイスを受けたことが非常に印象に残っています。

サトーは経営基本方針の中で「サトーの企業責任を自覚して・・・世界社会の発展に貢献することを使命とする」と謳っており、これを誠実に実行しようとする企業文化を持っています。「本業を通しての社会貢献」と言うアドバイスに、取り組むべきCSRの方向性が見えた気がしました。

こうしたらもっと社会が良くなる、というアイデアはありますか?

日本について思うことは、日本人は自分たちのアイデンティティを再認識すべきではないかと言うことです。例えば、成果主義や欧米流の経営手法が本当にマッチしているのか?ハーバードビジネスレビューを必死に読み解こうとするビジネスマンが、新渡戸稲造の「武士道」や論語、禅の教えなど、日本の価値観や倫理観の根底にあるものに無関心であってはいけないと思います。いかにグローバル化社会とはいえ、それは日本人のDNAにインプットされたアイデンティティを失いなさい、というのではありません。

真の国際人とは、自身のアイデンティティをしっかり持ち、相手のアイデンティティへの尊敬を持ちつつ、平等な立場で堂々と議論できる人だと思います。国際人と国籍不明人は似て非なるものです。古来の日本人は「八百万の神々」を崇めましたが、これは、「多様性」を容認する国民であることの象徴のように思えるのです。日本流、欧米流、それぞれの良さをもっとバランスよく取り入れるために、自己のアイデンティティを再認識すべきだと思います。

担当者になってから、自分の意識や生活の中で変わったことはありますか?

企業、社会と自分、そして他者。これらの相関関係をいろいろに考えることが必要となり、これまで雑然としていた心がとても整理されてきました。また、思ったことを行動に移す必要性も感じるようになりました。単なるお題目ではなく、サトーにとって本当に意義のあるCSR活動の方向性、そうしたことと日々向き合っています。

社会に伝えたいメッセージをどうぞ!

さまざまな環境が厳しくなっている時だからこそ、もっと優しくなっていきたいですね。レイモンド・チャンドラーのハードボイルド小説の主人公であるフィリップ・マーロウの言葉が好きです。「強くなければ生きられない、優しくなければ生きる資格がない。」──意固地にならずに、他の意見に耳を傾け、人の意見から自分の反省材料を探せるような、広い心を持っていきましょう。自分にとって異質だからと言う理由だけで、特徴ある個性を排除してはいけません。

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