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小坂順一

vol.36


PROFILE

鹿島建設株式会社
技術研究所 技術戦略室 上席研究員

現在の会社での経歴

1970年入社。1981年まで名古屋支店に勤務し大型工事の現場業務に従事する。1982年より一年間社費国内留学でMBAを取得し、翌年より本社企画本部、海外事業本部にて経営企画業務、2001年より本社技術研究所にて経営企画・経営管理業務を担当。そのかたわら、10年程前から社会貢献活動に携わり、勤ボラ会会長、車いすとともに歩く会副会長など、社内外の団体のまとめ役として活躍中。

家族構成

妻。息子二人は既に独立。

趣味

テニスと街歩き

好きな国or行ってみたい国

出張や家族旅行で行ったスペインとイタリア。人々の気質や雰囲気が好き。

影響を受けた人、尊敬する人、目標にする人

1982年より二年間、MBA取得のために通った慶應義塾大学大学院経営管理研究科(慶応ビジネス・スクール)の小野桂之介教授、現東洋学園大学現代経営学部の藤枝省人学部長をはじめとする諸先生方。

一番大事にしているもの

ボランティア活動をきっかけに得た人脈。活動を通して仕事では接する機会のない人たちとのつながりができた。


小坂さんが描く、理想的な社会とはどんな社会ですか?
また、どうすればこの理想的な社会を築いていけると思いますか?

日本にしぼってお話します。まずはエネルギーのことですね。石油資源は枯渇し始めています。日本は資金力にまかせてどんどん買ってきましたが、例えばこの先、経済成長の著しい中国が買い占めて、日本並みの勢いで消費し始めたとしたら、日本はどうなってしまうのだろうと最近よく考えますね。昔のようにエネルギーのかからない生活をするために、今からライフスタイルを変えていかなくてはなりません。節電などの省エネはもちろん、ひとりひとりがエネルギー効率を考えた消費行動を心がけなくては。日々の食卓でも、エネルギーを使って作る、旬を無視した農作物が消費され、一方では不揃いな野菜、果物などが流通せず廃棄されています。このような国は他にあまり見当たりませんね。改めれば国産農作物全体の値段も下がるでしょう。日本はまた、食糧を大量に輸入していますが、東南アジアの海老養殖に代表されるように、輸出元の国では、単一生産により現地の生活と環境が破壊されることもしばしばです。

地産地消が叫ばれる中、そのような側面からも、無駄を省き自給率を上げる必要があります。次に、物価を下げなくてはいけません。現在日本では平均的な生活費が月に30万円かかると言われています。それを20万円にしないと暮しにゆとりは生まれませんね。産業界の中で、製造業では効率を追い求め、それに成功していますが、反対に私たちのようなゼネコンや、金融、マスコミなどのあまり海外と競争にならない業界は、言ってみると非効率な業界です。こうした非効率な業界がスリム化を図り、広告宣伝や物流をはじめとする関連経費を抑えることで物価は下がる可能性があるでしょう。

今の仕事をしていく上での喜びと、逆に難しい点は?

鹿島建設の実施する社会貢献活動では、会社として行っているメセナ活動のほか、社員によるボランティア活動の推進があります。私は社内の有志で組織する「カジマ・ボランティア・ネットワーク」(KVネット)の会長も務めていますが、当初KVネットは座学ばかりで、活動らしい活動がありませんでした。それが港区のボランティアセンターとのつながりをきっかけに成長し、次第に形のあるものになってきました。特に異業種間での協力関係を築くことができたのには、充実感を覚えます。

社内的にも理解が生まれ、活動が日の当たる場所に出てきた気がします。問題はメンバーがなかなか増えないことですね。特に30、40代の人が増えない。鹿島建設に限らずどこの企業でも、中堅社員といわれる層の人たちは働き盛りですから、仕事が忙しすぎて社外活動どころではないのが実情です。関心を持ってもらえるような企画を探して、できるだけ参加を促したりはしているものの、ここが一番難しいですね。

今の仕事を始めてから体験した印象的なエピソードはありますか?

KVネットで「カレンダー大作戦」という企画があります。会社に大量に集まってくるカレンダーや手帳、ダイアリーなどを、希望により母子生活支援施設に寄贈するものですが、件数が増えるにつけ郵送料に困り始めました。そこで資金を捻出するために、フリーマーケットに出店することにしました。

これは鹿島の女子社員のアイディアでしたが、賛同してくれた他社さんが販売用にノベルティなどを提供してくれるなどし、結局郵送料に余りある利益が出て、次年度に持ち越せることになりました。

社会がこうしたらもっと良くなる、というアイデアはありますか?

子育てに、もっと皆が参加できる基盤作りが必要でしょう。私の知るある保育園では、妊娠中のお母さんを集めて、オムツの替え方や授乳の仕方などを教えています。それによって出産後の不安が軽減できると同時に、出産を控えたお母さん同士のコミュニティ形成のきっかけになるため好評だそうです。この保育園の園長先生には、私のような年齢の男性が一番、子供と向き合ってこなかった世代、子供との接し方を知らない世代だと言われました。そんな私たちのせいで、今の若い両親は子育ての仕方がわからないのだから、今からでも子育てに協力すべきだと。(笑)飛躍しているようですが、もっともかもしれません。

自らを省みてもまさにその通りなのですが、働き盛りの男性は、地域社会や家庭、そして子育てのシーンにおいて最も活躍できる人であるはずなのに、ほぼ全エネルギーを会社に取り込まれています。そのしわ寄せを受けるのが母親であり子供です。核家族化が進み、地域の結びつきも弱い現代社会においては、孤独な育児に追い詰められた母親による悲惨な事件まで起きています。父親はもちろん、企業や行政、地域が一体となり、生みやすく育てやすい環境を作る努力をしなくては、不幸な事件も減らず、少子化の問題も解決されないでしょう。

担当者になってから、自分の意識や生活の中で変わったことはありますか?

前述しましたが、地域社会の問題を考えさせられる機会が増えたことに関連して、遅ればせながら「子育て」に対する関心が急に増しました。

社会に伝えたいメッセージをどうぞ!

高齢化の進む社会で、地域のNPOなどが退職者の受け皿になると言われています。そのとおりだと思います。しかし、「定年退職後はボランティアでも。」とたびたび耳にしますが、本音を言うと、ボランティア団体も60歳を超えた年齢の未経験者は求めていません。ですから皆さん、是が非でも在職中に、少なくとも55歳までに始めてください。一度どこかの組織に属して経験を積めば、60歳を過ぎてたとえ体力が衰えてきてもお荷物にはなりません。ボランティアでは、活動体験そのものから得るものはもちろんのこと、そこでできる仲間とのつながりも同じように得がたく素晴らしいものです。

私は定年退職後の人生を考えて、思い切って都内に住まいを購入し、長く暮らした埼玉県志木市から引っ越して来ました。現在までかかわってきているボランティア活動の拠点から近い場所に住むことで、活動を続けやすくするためです。お金はなくても(笑)仲間のいる老後は明るいものです。ですから、定年後の人生を充実したものにするためにも、在職中の今からボランティアに参加しましょう!

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