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池内計司

vol.26


PROFILE

池内タオル株式会社
代表取締役社長

現在の会社での経歴

昭和57年に11年間勤務した松下電器産業を退職し、翌年家業を継ぎ社長に就任。99年にタオル業界初のISO14000取得を果たす。使用電力の100%を風力で賄い、有機栽培綿を使用するなど、業界の風雲児として注目を浴びるが2003年9月、売上の6割を占める取引先の破産の波を受け、民事再生法の適用をやむなくされる。国内外のファンに支えられ現在再建中。

家族構成

妻、子ども3人(長男、長女、次女)と年老いた犬

趣味

松下電器に就職したのもオーディオが好きだったからという筋金入りの音楽ファン。ブリティッシュロックをこよなく愛する。

好きな国or行ってみたい国

街としてはニューヨークと東京が好き

影響を受けた人、尊敬する人、目標にする人

世界的なテキスタイル会社であるデンマークのノボテックス社のノルガード前社長。環境に関するいろはを教わった。

一番大事にしているもの

自社の製品


池内さんが描く、理想的な社会とはどんな社会ですか?
また、どうすればこの理想的な社会を築いていけると思いますか?

家庭でやっていることを企業がやることですね。まったく逆のことを言う人も多いですが、現在日本の家庭は諸外国に比べても相当やっているほうだと思います。反面、この国では欧州のようなメーカーに対する製品の回収義務がほとんどないでしょう。工場内で完結せずに、消費者の手に渡ってからのことも含めたゼロエミッションを達成しないと不十分です。僕は、品質が長期間持続できるモノが最も環境にやさしいモノだと信じています。回収義務が生じれば、メーカーもおのずとそういうものを作りますよね。工場での環境保全をどれだけ推進しても、消費者に対し安易に買い替えを促進するようでは本末転倒です。企業の活動はそれ自体が環境に負荷を与えるのですから、経営者は自分が会社を運営するために与えている環境負荷がどれほどであるのか、包括的に知る必要があると思います。

家庭内のことで言えば、僕は環境のために皆が精錬潔白に生きるべきとは思っていません。文化的な生活とストイックな生活が相容れない場合もあるからです。しかしある程度の我慢は必要です。特に私たち日本人に間違いなく言えるのは、少しばかり贅沢しすぎているということですね。うちの社員は個々に環境目標を持っています。ペットボトルの飲料を買わないとか、自転車通勤に切り替えるとか、僕なんかは一年の3分の1が出張先で外泊ですから、使い捨ての洗面用具は使用しないとか。全部些細なことですよね。ということはつまり、この国には無くても済むものが溢れているということだと思います。

今の仕事をしていく上での喜びと、逆に難しい点は?

小さな会社ながらも、わがままに作りたいものを作って、海外にまで製品のファンができて、有難いことですよね。それは大変な喜びです。難しい点は・・・理念だとか製品に惚れ込んで、うちの会社に就職したいと言って来てくれる人が驚くほどたくさんいます。中には大企業で働いている人もいます。嬉しい悲鳴のようですが、うちは再建中の会社ですよ。「ボランティアではないのですからね。」と諭すこともあります。うちは確かに話題になりやすくて、メディア等に取り上げられる機会に恵まれた会社です。

しかしそこからくるイメージと現実の経営とのギャップには相当のものがあります。ニューヨークの一流店では世界を代表するタオルメーカーと同じ扱いをされていますし、環境経営で大成功した会社のように受け取られることが多いのです。実際には20人しかいないのに、20,000人の会社かのように思われることもしばしばです。自分達も一緒にその気になっていては話になりません。しっかりと足元を見てやっていかないと。

今の仕事を始めてから体験した印象的なエピソードはありますか?

環境で有名なノボテックスのノルガード前社長が私たちの染色工場を訪れたとき、「(設備が整っていて)すごいね。」と感心されました。そして、彼はこう続けたのです。

「もっとすごいのは、これだけの工場がありながら、あなたがこれだけ環境に無知なことですね。」・・・面白いでしょう?(笑)彼には、よく叱っていただきました。昨年亡くなられましたが、本当にたくさんのことを学ばせてもらいました。

社会がこうしたらもっと良くなる、というアイデアはありますか?

せめて食べるものくらいは日本のものを買う必要があると思います。日本人は世界で一番お金持ちなんですよ!そんなお金持ちが、安ければ良いと言うのはおかしな話です。お米が高かろうが野菜が高かろうが、日本人の義務として日本のものを食べないと。かつて豊かだった農地が荒れ果てているのを見ると寒々しい思いがします。

自国の農家を養うくらいのコストは皆で負担すべきです。食料自給率を上げないと、環境も国力もがたがたになるのです。僕らはスーパーで買い物するとき国産の食べ物を選べますが、外食だとそうはいきません。ですから、外食産業にも食材の産地表示を義務付けると良いと思います。

担当者になってから、自分の意識や生活の中で変わったことはありますか?

これは自分の周囲の人の変化ですけど。僕には10年ほど前、四万十川でのカヌーに没頭していた時期がありました。

そこに一緒にカヌーをしに行った人は100%ゴルフをやめました!川面を見ていると、ゴルフ場から緑の排水が流れてくるんですよ。

社会に伝えたいメッセージをどうぞ!

風力発電の風車は、その下まで歩いて近づけます。特に最近の風車は、ゆっくり回るように設計されていますし、のどかな感じが景観的にも自然に調和していると思います。

「都市部を離れれば、豊かな農村地帯が広がり、小学校の窓から風車が見える。」なんていうのが真に21世紀らしい風景ではないでしょうか。

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