クリックで救える命がある。

«前の語人   |   次の語人»

廣田雅計

vol.21


PROFILE

株式会社吉野家ディー・アンド・シー
総務部環境品質推進担当 部長

現在の会社での経歴

入社以来、庶務・法務関連部門の業務を手がけ、5年前より環境品質推進担当として、全社的衛生管理体制(YDC−HACCP)の構築及び維持、ISO14001規格認証の維持活動、「環境委員会」の事務局業務など、「品質衛生」と「環境管理」関連の業務を担当。

家族構成

子供ふたりはすでに独立。現在は奥さんと二人暮し。

趣味

読書。ジャンルにはこだわらず、月ごとにテーマを決める。現在は歴史もの。

好きな国or行ってみたい国

歴史に興味があるので、ハンガリーなどの東欧諸国。

影響を受けた人、尊敬する人、目標にする人

経営危機に際しても経営陣を説得しISOを取得した西友の小林珠江氏(お会いした当時は執行役員環境推進室室長)の、業務の域を越えた使命感に感動。

一番大事にしているもの

家族(特に今は孫がかわいい)


廣田さんが描く、理想的な社会とはどんな社会ですか?

ひとつの理想や価値観というのものを押し付けようとしない社会、が理想の社会ですね。理想というものが、むしろない社会なのかもしれません。たとえば環境問題はたしかに、みんなが考えるべき深刻な課題です。しかしそれがいわば“環境ファッショ”のように、ネガティブな側面だけを捉えて高圧的になりすぎてもいけないでしょう。

環境問題で発表されるいろんな統計的データだけを信じ込みすぎると、すべての経済活動が悪というような誤解にもつながります。また一方企業においては、ISO等の取得など環境対策が一般的になっていますが、それが形式的なもので終わっては根本解決にもなりません。環境や事業、そうしたものを包括的に捉え、いろんな理想や価値観の共存を模索していける社会が理想的だと思います。

どうすれば、この理想的な社会を築けると思いますか?

現在の経済情勢下においては、「環境問題よりもっと打開すべき課題がある」という企業からの緊迫した声も多いという実情は、たしかにあります。しかし、よりよい環境づくりという面では、企業がまず先頭に立ち環境対策を推進すべきであることは言うまでもありません。弊社では、どんぶり一杯をご提供するのに、いかにCO2の排出を削減できるかということを指標のひとつとして取り組んでいます。

弊社も含めたファストフード業界全体が、ファストフードのメリットである効率性の追求と同時に、対環境問題への取り組みを一丸となって考えていくべきでしょう。もちろん、すべての業界で同じような取り組みが必要ですし、また、地域社会単位で、環境対策を行動していくべきだと思います。

今の仕事をしていく上での喜びと、逆に難しい点は?

環境と企業がどう組み合っていくのか──そこにある多くの課題は、まだまだ前例がないものばかりです。お手本は自分たちが作らなければいけないという、とてもチャレンジングな仕事だという意義を喜びとして感じています。しかし一方で、その成果というのは長期的な視点を持たないと得られません。

子供たちの世代まで待つこともあるでしょう。企業が短期的な結果を得ようとする、昨今の情勢とのギャップを埋めるのは難しい点だといえるでしょうね。また、環境対策をひとつの事業とすることの必要性や、社内的なコンセンサスの統一も、まだまだ充分とはいえないと思います。

今の仕事を始めてから体験した印象的なエピソードはありますか?

吉野家全体で使う割り箸は、一日あたり立ち木換算で15本にもなります。そこで中国の饒河県で、使用する割り箸と同等の植林活動をすることで、消費と森林伐採のバランスを取ることを環境対策活動の一環にしています。

こうして年々饒河県を訪れる機会があるのですが、この田舎の町が短期間でどんどん発展する姿を見ると、環境問題で取り上げられる発展国と途上国の力関係の図式にも、環境対策効果も得られる、より前向きな解決策の一端があるように感じられました。

社会がこうしたらもっと良くなる、というアイデアはありますか?

企業サイドとしては、社員に時間的・精神的なゆとりをもっと与えるべきでしょう。そうしないと、環境や社会貢献などの課題を考えることはできません。また、地域社会では、自分たちの区域さえしっかりしていれば、といった視野はもう少し広げて、お隣さんの分まで掃除しよう、くらいの発想が必要だと思います。

そして経済システム全体としては、もっとクリック募金や地域通貨といった、柔軟性のあるお金の動きが生まれていき、経済的な圧迫が和らぐような状況がどんどん生まれてくるべきだと思います。

担当者になってから、自分の意識や生活の中で変わったことはありますか?

正直なところ、やっと自宅のゴミを自分で細かく分別できるようになったんです(笑)。それまでは不燃物とリサイクルものの違いすら知りませんでしたから、この意識的の変化は自分でも驚きです。

また、日曜日に行なわれる町内会のゴミ拾いにも、ちゃんと参加するようになりました。

社会に伝えたいメッセージをどうぞ!

スローフードがブームになっています。が、ファストフードにはまったく違う“効率性”という価値観があります。従来はこの効率性追求が、大量生産、大量消費、大量廃棄をもたらすものとされていました。いまは、この効率性のパラダイムをこそ変えるべきです。

例えれば、家庭内でのゆったりとした楽しい食事は、マイカーでのドライブのようなもの。一方、レストランやファストフードでの食事は、環境にやさしい、バス・電車のようなものです。社会には両方必要でしょう。効率性の追求が環境問題にも貢献するということを、今後、ぜひ証明していきたいと思っています。

«前の語人   |   次の語人»

▲このページの一番上へ

語る

1〜101〜10

11〜2011〜20

31〜4031〜40

41〜5041〜50

51〜6051〜60

61〜7061〜70

71〜8071〜80

81〜9081〜90