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赤羽真紀子

vol.20


PROFILE

株式会社セールスフォース・ドットコム
社会貢献担当部長

現在の会社での経歴

前職(スターバックスコーヒージャパン(株))より環境および社会貢献事業に携わり、現在の会社には2003年に入社。「子どもとIT」を活動の軸とし、地域に根ざした社会貢献事業を立ち上げる。

家族構成

夫と二人暮し

趣味

水泳、旅行

好きな国or行ってみたい国

初めて海外生活を体験した地でもあるスウェーデン。文化、教育、精神性などに魅力を感じ、学ぶものが多かった。

影響を受けた人、尊敬する人、目標にする人

前職での女性の上司。仕事の進め方やものの見方を教わった。気配りと心遣いの人で、自分と同じ働く女性として目標にできる人。

一番大事にしているもの

家族


赤羽さんが描く、理想的な社会とはどんな社会ですか?

多様性を認められる社会です。植物も動物もそうですが、多様な生き物が共存している世界の方が健全なはずです。それぞれが響きあって、全体のバランスを保っている社会の方が本来自然なのだと思います。関係のない話のようですが、私が悩まされている花粉症の原因、スギ花粉が大発生したのも、もともと様々な木々で構成されていた山を、人間の都合で杉だけにしてしまったことへのしっぺ返しですね。

人間にとって便利なように自然を作り変えてしまうことは簡単かもしれませんが、ひとたびバランスを崩し、限られた生き物しか暮らせなくなった環境は、長期的に見ると私たち自身に弊害をもたらしていることが多い。人間も地球に暮らす生き物のひとつですから、同じことを人間社会にも当てはめることができると思うのです。ひとりひとりの影響力の大きさに関わらず、多様な存在を受け入れ、それを全体に反映させていける社会こそが、理想的ではないでしょうか。

どうすれば、この理想的な社会を築けると思いますか?

私自身、省みるとそうなのですが、自分と違うタイプの人や意見を排除したくなる時というのは、自分に余裕がない時ですよね。少しゆったりと構えて全体を見渡せる視点に立って考えてみると、そういった異なるものこそ自分を向上させることが多いのだとわかります。そのことを知っておくのは大事なことだと思います。もう一点、そもそも自分に自信がないと、他の良さを認められないということも言えます。ですから近年日本でも若い人たちが、ただ欧米風に憧れるのではなく、それらを取り入れつつ、よりアジアを意識するようになったり、自国の伝統文化に目を向けて美しさを見出しているのはとても良い傾向だと思います。

私が以前生活をしたスウェーデンは、単一に近い民族で構成される国でしたが、彼らは、自分たちの国を(人口が約900万人の)小さな国だと認識しながらも、同時に、グローバルな国際感覚を持ち合わせているように感じられました。私はその理由を長く考えた末に、自ら小さな国だと考えるからこそ、自分たちから外に向かって開き、良いものを取り入れ、自分たちにできることを見つけることで強くなろうとしているのではないかと考え至りました。ノーベル賞のようなステータスの高い賞が準備できるというのも、そのような国民性に拠るところが大きいと思います。

今の仕事をしていく上での喜びと、逆に難しい点は?

企業間の横のつながりが持てることと、その中で通常では考えられないようなことが実現できることが嬉しいです。例えば、セールスフォース・ドットコムがボランタリーに実施する、私たちのオフィスの一部を地域の子どもたちに提供して行うプログラムのために、NECさんが複数のPCを無償提供してくださったり、キャノン販売さんにはプリンター、CSKさんには工作でロボットを作るためのキットを一式いただきました。

物品の提供ももちろん助かりますが、活動に賛同を得て、力を合わせてやりましょうと言われるのはやはり嬉しいです。日本における当社の社会貢献活動は、私がゼロから始めていますから、試行錯誤の連続です。そこが面白くもありますが、難しいことも数多くあります。ですから、社内外で理解と協力を得られるのはとても有難いことです。

今の仕事を始めてから体験した印象的なエピソードはありますか?

ベンチャーであるにも関わらず、セールスフォース・ドットコムには創業時から社会貢献活動が大きく組み込まれていました。利益の1%、株式の1%そして労働時間の1%を社会に提供していこうというものです。全ての社員に通常の就労時間の中でのボランティア活動が認められていますし、休日にそういった活動に参加した場合は代替休暇がとれます。

日本では社員100%の参加を目標とし、会社が積極的に活動を後押ししています。ですから、専任の私はもちろん、どの部署の社員も、平日の昼間にボランティアに出かけることがあるわけですが、それを受け入れ先の方に驚かれることはしばしばあります。

社会がこうしたらもっと良くなる、というアイデアはありますか?

セールスフォース・ドットコムでは各国で各々の事情に合ったオリジナリティーのある社会貢献活動を実施しています。例えばイスラエルではパレスチナの子どもたちと一緒にPCを学んでもらっています。PCスキルの習得もさることながら、小さい頃から一緒にいる時間を自然な形で持つことで、将来彼らが争うことをなくしたいとの願いからです。では、日本ではどんな活動が良いだろうと考えた結果、地域の人たちと企業との分断を埋めることに取り組むことにしました。具対的にはオフィスの一部を「キッズルーム」として子どもたちに提供しています。そこでITに触れてもらうのが主たる目的ではありますが、現代の子どもたちは、親の大半が会社員であることから、昔のように親の働く姿を見る機会がありません。

子どもたちに会社や会社員というものを身近にイメージしてもらうことも意義のあることだと考えたのです。また、私たち企業が地域社会の一員として、地域に開いていくことも必要だと思っています。地域の安全や環境はそこに存在する企業にとっても切り離せるものではありません。毎日の通勤路に街灯があることで守られている安全があるように、私たちは知らず知らずのうちに地域に恩恵を受けています。地域社会の一員として、企業の方からもできることをしていくべきではないでしょうか。

担当者になってから、自分の意識や生活の中で変わったことはありますか?

情報を得るのがこの仕事の重要なポイントなのですが、ここに行けば必要なものが確実に得られるという情報源が確立されていない分野なので、様々なところに広くアンテナを張り巡らせてまめに情報収集しなくてはいけません。

新聞も一般紙と経済紙のほか産業新聞にも目を通すようにしています。

社会に伝えたいメッセージをどうぞ!

私も経験してきましたが、一人でゼロから始めるのは不安なものです。しかし、静かな水面でも、一滴雫が落ちれば、波紋ができ広がっていきます。

意志さえあれば、社会に対し幾ばくかの影響力を持てるのだと信じて欲しいです。

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