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中村孝

vol.15


PROFILE

ミサワホーム株式会社
商品開発部 技術環境グループ
環境技術チーム マネージャー

現在の会社での経歴

入社24年目。技術開発部門に8年、設計で8年。96年にISO14001が発行になったのをきっかけに3人で環境推進室(当時)を立ち上げる。以来現在に至るまで環境に携わり、2年前からは技術環境グループで構造、耐久以外の全ての性能に関わる広範な環境活動を担う。

家族構成

妻、子ども2人(長女大学生、長男高校生)

趣味

スキー(学生時代からの趣味で、現在も家族でスキー旅行をする。)

好きな国or行ってみたい国

家族旅行で訪れたスペイン。やはり建築に興味があるから。

影響を受けた人、尊敬する人、目標にする人

創業者である三澤会長と、以前の上司で螢潺汽錺曄璽狒躪膰Φ羹蠅硫弾社長。仕事のやり方を学んだと思っている。

一番大事にしているもの

家族を含む自分の生活


中村さんが描く、理想的な社会とはどんな社会ですか?

住宅メーカーの視点からそれにまつわる社会の話しをしますね。もっと住みたい家に住んで、自分のしたい住まい方を享受できるような社会になっていけば良いと思います。環境面から考えても中古住宅流通がうまく機能して、その結果、家が長く使われる仕組みができていくことが重要でしょう。もちろん、必ずしも同じ家族が同じ家に長く暮らし続けるのだけではなく、一つの家が色々な家族の住まいになっても良いわけです。住まいや生活は誰もが持っていますが、それが本当に自分の求めているものなのかというと、まだそんな世の中ではない。求めたところで無理だろうと多くの人が諦めていると思います。

けれど実際のところ日本では既に家が余っています。空家率も増えていますが、今住んでいる人もそこに住みたくて住んでいるとは限らない。例えば郊外の一戸建てでは、お子さんが独立した後に夫婦だけが残ったりお年寄り一人になって持て余しているケースをよく見ますが、家と人とのミスマッチが生じています。それに、ちょっとした邸宅も、持ち主が手放すと業者が分割してミニ開発してしまう。もったいないですよね。皆がもっと自由に住まいを選びながら、家が100年使われていく。なおかつ暮らし方が環境を考えられたものになれば、持続可能に近づけると思います。

どうすれば、この理想的な社会を築けると思いますか?

一つの住宅にどれだけ長く住まえるか、そしてもうひとつは、そこに住まう人のライフスタイルです。日本の住宅は耐用年数が短いと言われています。耐用年数を算出すると、イギリスで約140年、アメリカで約70〜80年と言われていますが、日本は30年程度です。原因の一つには戦後の焼け野原からの復興という事情がありますが、それにしても短い。よく、日本は木造住宅が中心だからもたないと言う人がいますが、それは誤解です。法隆寺が良い例ですよね。きちんとした建物でさえあれば、あとはメンテナンスなんです。長く住める住宅が普及すると当然新しい住宅が売れなくなりますから、自分で自分の首を締めてしまうジレンマはあります。しかしそれを作っていくのは、やはり住宅メーカーとしての使命です。

そして長く住める家というのは、結局、メンテナンスをしながらでも住み続けたい家であるということなのです。耐震、エネルギー効率からホルムアルデヒド等化学物質の問題、インテリアまで、全ては快適に暮らせる家というのにつながっていくのですから。次に、ライフスタイルとも言いましたが、住宅が及ぼす環境負荷というのは一般に考えられているよりずっと大きいのです。大量の資材を使用しエネルギーを導入して建てて、壊してしまうと膨大な廃棄物が出ます。しかし長いスパンで見ると、居住段階でのCO2の排出量が結局一番環境に負荷を与えるのです。ですから、どんな住宅であるかも大事ですが、いかに住まうかが重要なのです。

今の仕事を始めてから体験した印象的なエピソードはありますか?

環境の担当になったこと自体ですよ。当時のこの業界は、まだ住宅における環境問題とは何かすら把握されてなかったんですから。それを素人3人で始めて・・・三銃士と呼んでいました。(笑)まず、当時の主力工場である松本工場に、「ISO14001を取ってください」とお願いしたのですが、ちょうどISO9000を取得したばかりで、その大変さに皆懲りていたのです。説得するのがまず大変でした。やっと納得してもらったところ、今度はトップから、どうせ取るなら業界一番で取りなさいと言われまして、今思うとなぜそこまで一番にこだわったのかと思うのですが、私を含めた三銃士が工場に張付いて、工場の人たちと必死で取り組みました。

徹夜の日々の連続でしたね。宿泊先のホテルに帰るのが朝の5時で、それからシャワーを浴びて6時に出て行っていましたから。ホテルの人にも怪しまれていましたよ。(笑)その甲斐あって、半年という記録的なスピードで取得できました。あの時は泣いちゃいましたね!あの感激と達成感は忘れられません。まさに感無量でした。現在は全ての生産・開発に携わる事業所でISO14000を取得しています。

今の仕事をしていく上での喜びと、逆に難しい点は?

社内で環境活動を行う場合、皆なんらかの意識は持っているのですが、そこに数値などの目標の網をかけると、途端に消極的になってしまうんですよ。皆真面目なんだと思います。具体的な目標を作ると、達成しなくてはいけないノルマのように感じてプレッシャーになるんでしょうね。かといって、なかなか自発的にはやってもらえないですし。これは本当にあった笑い話ですけれど、昼休みは事務所の照明を消しています。

晴れている日はそれでも明るいのですが、曇っていると相当暗いんです。社員がそんな日に事務所でお弁当を食べていて、ミートボールだと思って口に入れたのが梅干だったそうで、それくらい暗いんだ!と私のところにクレームがきました。それでも時折「これは環境に悪いから見直した方が良いと思うんですけれど。」などと社員の方から提案してくれることもあります。それはとても嬉しいですね。

今の仕事に携わるようになってから、自分の意識や生活の中で変わったことはありますか?

煙草を止めました。本当は別に環境には関係ないのですが、環境やってるのに煙草を吸うのかと言われまして。(笑)

それから、コーヒーはブラックで飲むので、テイクアウトの際に自動的についてくる砂糖やミルクをこちらから断るようになりました。

社会がこうしたらもっと良くなる、というアイデアはありますか?

住まい方には工夫が必要ですね。我々も住宅メーカーとして、お客様に対し、従来型の単に便利で快適な暮らしを提案するばかりではいけないと思っています。お客様に早く寝てくださいとか、ゆっくりお風呂に入るのを止めてくださいとは言えませんけれど、上手な省エネの仕方とか、そのための良い製品を提案することはできますし、もっと言うと、環境に良い暮らし方をしてもらえるようお願いすることもできると思うのです。

私も今の生活を不便にしたり我慢したりしながら、エコな暮らしをしたいとは正直思えません。今の生活を維持したり、より快適にしながら、環境にも配慮したい。ただし、一過的には我慢しなくてはいけないです。しかし我慢イコール不便かと言うと、身についてしまえばそうではないものです。当たり前になってしまえばいいわけです。

社会に伝えたいメッセージをどうぞ!

こういう所に住みたいともっと声高に言って欲しいですね。国の住宅政策に対する国民の声を盛り上げて欲しい。住宅取得減税なんて住宅メーカーばかりが言っているんですよ。

なぜかエンドユーザーからは聞こえてこない。仕方がないと思っているんですよね。本当は、土地を安くしろとか住みたい所に住まわせろとか、住宅手当を出せとか、もっと要求してしかるべきだと思いますね。

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