クリックで救える命がある。

«前の語人   |   次の語人»

田村和久

vol.6


PROFILE

ファイザー株式会社
社内広報・社会貢献室長

現在の会社での経歴

現在の会社での経歴営業を18年、その後希望を出し広報へ。広報に異動後3年間、全社的にファイザーの定める価値基準 (規準)を浸透させていく社内広報プロジェクトに携わり現在に至る。

家族構成

妻、子ども二人(高校生、中学生)

趣味

ミニバスケ(娘が小学校の時にいたチーム)のコーチをしており、今では趣味の域を越えてほぼ毎週末をそれに費やしている。

好きな国or行ってみたい国

スペイン。建築に興味があり、いつか妻とガウディを見たい。

影響を受けた人、尊敬する人、目標にする人

特にいない

一番大事にしているもの

家族


田村さんが描く、理想的な社会とはどんな社会ですか?また、どうすれば、この理想的な社会を築けると思いますか?

皆人生の中で、それぞれに生活があり理想や利益、また思いを追うわけでしょうが、ある人は、その時代にマッチして、その人の能力が発揮されるが、時代が違えば、その能力が発揮されないことってあると思うんですよ。成功している人は、もちろん、それなりの努力をしているのだと思いますが、必ずしもうまくいくとは限らない。たまたま、その時代に、自分の持つ能力が合わないだけかもしれない。経済的な格差を例にとっても、全体が平均化することは今後もないとは思うんです。ただそれは、必ずしも個人の資質として、優秀かどうかということではない。今の時代に認められる人とそうではない人がいるけれど、今の価値基準が普遍的であるとは限らない。そう考えると、その時代にマッチした人が、していない人のことをいつも気にかけるような社会がいいと思っています。抽象的ですが、そんな気持ちを皆が持てるようになるだけで変わるのではないかと思います。

我々は製薬企業であり、世の中のヘルスケアに関心が高い。社会の中で、ヘルスケアに対する関心が高まってほしいと考えています。しかし、私たちには薬という事業を通してできることと、それだけではできないことがあります。私たちだけではできない部分のヘルスケアを担なっているのが、NPOであり、彼らと一緒にプログラムに取り組んでいます。そんなプログラムを始めるにあたって、私が初めて訪れたNPOがダルクという薬物依存者をサポートする団体でした。私自身、薬物依存の人たちの存在を知らないわけではありませんでしたが、生活の中で意識することもなかったと思います。後に行ったホームレスの支援団体でもそうでしたが、実際にそこに目を向けてその中で活動している人たちがいる。それも真剣に。それはとても衝撃的でしたし、感動しました。3時間くらいスタッフの方からお話を聞かせてもらって、こういう事実や活動を社会にもっと知らせたいと強く思いましたね。

今の仕事を始めてから体験した印象的なエピソードはありますか?

初めて訪問したNPO(薬物依存者をサポートする団体)が衝撃的だったと言いましたが、一番最初に何に驚いたかというと実はスタッフの方や事務所の雰囲気が一種独特で・・・普段まったく接点がないタイプの方々でして、正直言って外見的なインパクトにまず圧倒されました。(笑)詳しく知ってからは、こういう活動をしている人たちがいるということに感動しましたけど、始めは何を話して何を質問していいかもわからない中、腰が座っている椅子から浮いていたような気がします。人といえば、名古屋にいる知的障害者のレスパイト事業をしている女性、元々は普通の主婦なんですが、この人はけっこうすごいんです。レスパイト事業というのは、日頃家庭で介護を行っている方が病気になったり、急な用事で外出される際に、介護が必要な障害者を一時的にあずかる事業です。障害児・者を持つ家族にとってとても助かる事業ですよね。ただ何がすごいかって、ボランティアを集めるのがとても上手なんです。非営利活動団体はどこでもそうだと思いますが、ボランティアはとても有効ですよね。

ここは、ボランティアを常時100人くらいかかえている。どうやっているのか聞いたら、近隣の福祉大学にいって、募集するんだそうですが、これがまた大学の門のところで、学生にインタビューして、人気のある教授や先生の名前を聞いて、直接その先生に自分たちの活動を説明して、講義のときに、学生に団体のPRをしてもらうんだそうです。「ボランティア等に関心のある人は、***団体にいってみたら…」と。人気のある先生から紹介されるから効果てき面だとか、おどろきましたね。でも、こういった活動をしているリーダーの人たちと会うようになって感じたことは、皆さんどなたも熱い思いを持っているし、話し出すとその思いを何時間でも話している。ものすごいパワーですよ!こういったパワーが人を引き寄せたり、すばらしい活動に繋がるのでしょうね。

今の仕事をしていく上での喜びと、逆に難しい点は?

この仕事を始めてからいろいろなNPOとのつながりができましたが、彼らの話を聞くと、すごいですよね。いろいろな人に出会えて、また彼らの持っているエネルギーに接することができて、それが今後の人生にとって何になるかはわからないけど、とにかくものすごく得したような気になりますね。おもしろい人が多いですからね。でもこの世界不思議というか発見というか、高学歴の人が目立つのも興味深いですね。難しいと思うのは、(助成金という形で)お金を扱っているので気をつけなければならないのですけれど、けっしてお金をあげる側ともらう側、上下関係になってはいけないということ。お金というのは、ある場所ではたいした力がないけれど、ある場所においては非常に強い力を持つことがありますから、彼らに対し、変な影響力を持たないように気を配ります。そして、どの団体にどれだけの額を提供すべきかも慎重に考えるべきと思っています。

その額が妥当であるかどうかは実際に活動をある程度理解しないと判断できません。NPOにヒアリングに行って5時間話を聞いたこともあります。活動を邪魔したくないので、そんなに時間はかけたくないのですが、どういうやり方でどういった活動をしていて何がもっと必要なのか、どうしてもわからないときがあるんです。私たちに知識が足りなかったり、理解が不足していたりする場合がありますし、彼らが彼らのグループ以外に伝えるための言葉を十分に持っていなかったりして、理解し合うのが難しいときがあります。いっそのこと活動支援として例えば一律100万円と決めて活動を見に行かないなら楽なんでしょうけど、いい加減にやりたくありませんからね。

担当者になってから、自分の意識や生活の中で変わったことはありますか?

私はまだまだ親ばかなんですが、それでも自分の子どもに対する見方は以前と変わったと思います。親が子どもの自立を阻害することがあってはいけないと、接し方に気をつけるようになりました。青少年の悩みにカウンセリングなどを行っている団体からけっこう聞く機会がありますが、思春期を経験せずに二十代になってしまっている人が増えているようです。子どもは成長段階で、ある時期親に反発をしたりしながら精神的にも自立していくのだと思いますが、そこを通り抜けてきていないことから大人になりきれず、苦しんでいる人がたくさんいるようです。

子どもの痛みというものを子ども自身ではなく親が我慢できない人がいるように感じます。気持ちはわかるしつらい場面かもしれないが、子どもには子どもの人生やアイデンティティがありますから、それは尊重しなければいけないと思っています。子どものためを考えると、親としては直接手を出さずに見守る忍耐も必要だということを改めて学びました。

社会に伝えたいメッセージをどうぞ!

ヘルスケアの概念は、我々企業が一方的に決めることではないと思います。その中には医療もありますし、福祉や健康、心の問題とかもあると思いますし、生活そのものかもしれません。ヘルスケアに対する社会の意識がもっと高くなるといいと思っていますが、このプログラムを始めて、感じたのは、現在の社会では心の問題に関する課題がとても多いことです。

薬で解決できるものもあるとは思いますが、ほんの一部でしょう。昨年流行った歌でSMAPの「世界に一つだけの花…」は歌詞が気に入っています。個々のアイデンティティはとても大事で、それが尊重されることによって解決される心の問題もあるのではないでしょうか。

«前の語人   |   次の語人»

▲このページの一番上へ

語る

11〜2011〜20

21〜3021〜30

31〜4031〜40

41〜5041〜50

51〜6051〜60

61〜7061〜70

71〜8071〜80

81〜9081〜90