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安川良介

vol.3


PROFILE

環境カウンセラー(インタビュー当時:株式会社電通 コーポレート計画局 計画推進部 部長)

現在の会社での経歴

71年(株)電通入社。CM制作の現場でプランナーとして15年。その後営業部門を経て96年より研究開発部門で環境プロジェクトに携わり、07年に、環境カウンセラー(専門分野:環境コミュニケーション)の資格取得。08年3月に電通を定年退職。
自称、ECO COMMUNICATION FACTORY 工場長。

家族構成

息子2人

趣味

音楽(クラシック、ジャズ、その他いろいろ)、俳句、飛行機

好きな国or行ってみたい国

この目で一度オーロラを見てみたい。

影響を受けた人、尊敬する人、目標にする人

井上ひさし、筒井康隆、和田誠、ナンシー関

一番大事にしているもの

環境を守るためにできることを探す時間。


担当している主な活動は?

現在はコーポレート計画局に所属していますが、最近まで消費者研究センター消費者情報開発部に身をおいていました。

消費者の環境意識が環境に大きな影響を与えている。その動向をつかみ、ビジネスとしてのコミュニケーションを通して環境になにができるか考えていました。

今の仕事をしていく上での喜びと、逆に難しい点を教えてください。

環境問題というものについて理解がまだまだなんですね。これをいかに伝えていくかが一番難しいです。環境問題というものが何もかも一括りにされてしまっていて、環境問題について考えなさいと言われても、漠然としすぎていて、一般消費者は何を考えて良いかわからない。だから僕はこう言うんです。「消費者は不幸にして無知である。」と。不幸にして無知であって、バカだって言ってるんじゃないですよ。(笑)

十分に情報を与えられていない、目に見えないからよくわからない。それが不幸にして無知だと。じゃあ、誰が情報を与えるかというと、誰がやるか決まっていない。だから、誰がやるかにかかっていますよね。メディアとして一番強いのは、間違いなくテレビです。二年ほど前に電通で調査をしたら、企業の環境情報を得る手段の60%以上はテレビでした。

今の仕事を始めてから体験した、印象的なエピソードがあればお聞かせください。

メーカーでも環境に関心が高いのは技術開発部門などの一部の人に限られている。社内でも、セクションや個人によって温度差が大きい。営業は売れるものが欲しいですから、環境環境言っても、売れないものは要らないし、社内で温度差があるんですね。

そんな中消費者にどうアプローチしていくかが広告会社の仕事なんですけど、得意先から環境の課題を与えられても、オリエンテーションをしてくれるのが環境専門のセクションの人で、オリエンテーションを受けた側が、難しくてよくわからないから料理のしようがない、なんてこともあります。なかなか言われた以上にふくらましていくことが難しいです。

今一番気になる環境問題は?

原因も結果も違うさまざまな問題を「環境問題」の一言で括ってしまっているところからくるわかりにくさ。これがコミュニケーションを難しくしている。環境問題は実に幅が広くて、それぞれに奥が深い。環境問題と言えば、ある人はゴミの問題だと思うだろうし、ある人は水質汚染、温暖化、ある人は有害化学物質と思うだろうし。

送り手と受け手のレベルも考えていることも違う。コミュニケーションがすれ違う可能性も多い。有害化学物質を突き詰めている人は、目に見える家庭のゴミには興味がなかったり、その逆もある。それなのに全部「環境問題」の一言で括ってしまっている。

社会が、こうしたらもっと良くなる、というアイディアはありますか?

コミュニケーションというところ、専門分野で答えさせてもらいます。環境広告は、真面目なことを伝えなくてはならないから、真面目につくってしまう。

現実には、消費者は広告を見るときに、興味を引くものかどうかしか考えないのだから、構えてしまわないで、広告そのものとして力のある環境広告をつくるクリエイターがもっと出てきて欲しい。お行儀の良すぎるものではなく、インパクトのある、パワーのある環境広告がもっともっと出てきて欲しいですね。

環境を担当してから、自分の意識や生活の中で変化したことはありますか?

無神経ではいられなくなりましたよね。身近な例だと、ビールが好きでよく飲むんですけど、缶から瓶ビールに変えたんですよ。

でも瓶は買ってくるのにも重いから、リターナブルはなかなか普及しないのがわかります。何か工夫が必要なんでしょうね。

この時代に、日本に生きていることを幸運だと思いますか?

まぁ、そうですね、思いますね。テレビや新聞を見ても、平和であること。不況だと言っても、多くの人が食うに困ってるわけじゃないし。

仕事を通じて、社会に伝えたいことがあればお聞かせください。

消費者の消費行動が環境に及ぼす影響は大きい。インターネットで環境のことを調べるような人は放っておいてもいい。そういうことをしない人が環境に負荷のかかることをしていたりする、ではその人たちをどうするか。環境ヒット商品が出てきてますよね。新型プリウスやノンフロン冷蔵庫、個人住宅も環境性能を売りにしている、どれもエネルギー効率の良さから、電気代などの維持費が安くなるという消費者メリットがある。つまりどれだけ元をとれるか、ですよね。環境商品は消費者メリットが少ない。例えばパソコンの筐体に再生プラスチックを使ってもバージンプラスチックを使っても、パソコンの性能は変わらないが、もし再生プラスチックを使った製品にリサイクルコストが上乗せされていたら「不幸にして無知」な消費者はそれを選ばない。

企業が一生懸命グリーン商品をつくっても、売れないとつくらなくなる。それだと循環型社会の実現ができなくなる。環境問題を解決するためには制度と技術と意識の三本柱が必要と言われていますが、制度だろうが技術だろうが、それを知らなければ意味がないので、私はそこにコミュニケーションを加えて四本の柱と言っています。全ての基盤になっている環境、それに関しても、コミュニケーションが重要だと、そう信じていないとコミュニケーションビジネスの現場にいられませんから、信じています。

持続可能な社会は実現可能だと思いますか?

そうすぐには変わらないだろうけど、目指すべきだと思うし、そのためにはやらなければいけないことがまだまだある。持続可能な社会に転換するまでの時間と環境問題の進行と、どっちが早いのかな、と。

追いつかれて追い越されてしまうのか。理想論言っても仕方がないだろうし。規制にも限度がありそうで、難しいですね。

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