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小又昭彦

vol.1


PROFILE

株式会社資生堂
技術資産本部 技術部 課長 工学博士

現在の会社での経歴

入社後11年間国内の研究所で香水の研究をする。その後渡仏し、現地の工場で、新製品の製造を立ち上げる仕事、パリのテクノセンターにて、 現地の化粧品工業会に参加し化粧品の法律などの情報を集める仕事をそれぞれ3年半。帰国後現在の部署に4年目。

家族構成

妻、子ども1人(小学生)

趣味

ヨーロッパにいる頃はゴルフ、現在は子どもの野球の球拾い。

好きな国or行ってみたい国

フランス

影響を受けた人、尊敬する人、目標にする人

真面目で頑張り屋な父親

一番大事にしているもの

家族


担当している主な活動は?

環境と品質を管理する仕事です。同じ部署に9人いて、5人が専任で環境に携わっています。

今の仕事をしていく上での喜びと、逆に難しい点を教えてください。

計画立てて仕事をしているわけですが、それが成功した時はやはり嬉しいですね。例えば以前、ゼロエミッションをやろうと提言して、しかしそれを実際に実施するのは工場の人たちですから、長い時間を費やして工場側と調整をしていきました。下地づくりの時間を合わせると5、6年かかってるでしょうね。趣旨とか重要性が実際に伝わって、計画が動いていった時は嬉しかったですよ。

難しいのはその逆で、伝える、伝わる、ということは簡単ではない、相手にとっては大変なだけで何のメリットもないと思われてしまうことだって多いんですよ。以前はインセンティブとして報奨金を出したこともありましたが、それでは目的がインセンティブになっていってしまうんですよね。いろいろ議論はありますが、インセンティブに頼らずやっていきたいし、それが正しいと思いますね。

今の仕事を始めてから体験した、印象的なエピソードがあればお聞かせください。

化粧品のガラス瓶の回収を全国の販売会社や販売店の協力を得て開始しました。これを始めるときは社内でもかなりもめたんですね。これをやることによって会社として得をすることはないんです。費用的には持ち出しですから。しかし結局、みんなで環境保全をやっていこうじゃないか、ということで実施が決まってインセンティブ抜きですが今年度100トン回収しました。

100トンと言っても、全体が7,000トンですから、比率としてはまだわずかなんですけどね。当座は10%の700トンが目標です。化粧品の場合は牛乳パックなどと違って一度買うと2、3ヶ月保ちますから、日常行動の中にリサイクルを習慣づけていくことが難しいんですよ。それに、販売店で回収するんですけど、ガラス瓶は持ち運ぶのに重いですしね。

今一番気になる環境問題は?

日本だけで環境を考えても、結局地球はつながっていますからね。CO2の問題など気になりますが、世界には、生きるのに精一杯で環境に配慮しろ、森林伐採を止めろと言われてもそれどころではない人々が大勢いるわけですから。

そういうことを含めて、どういった環境保全のための行動が最良なのか、よく考えるんですよ。環境もですけど、先に彼らの命を保証しなくてはいけないですから。

社会が、こうしたらもっと良くなる、というアイディアはありますか?

環境保全の行動を、いちいち意識して、頑張って起こすのではなくて、全てにおいて当たり前に、環境に配慮した視点が必要ですよね。いやいややっていても続かないですよ。今より一歩進んで、無意識レベルで自然に行動を起こせるようにならないと。そういう意味で、子どもの頃からの環境教育が非常に重要だと思います。興味もありますね。

環境問題というのは、突然降りかかってくるのではなく、じわじわ深刻になってくるものですから、カエルを水から茹でると徐々に熱くなっていくのに気づかず死んじゃうっていう茹でガエルの話と一緒で、みんなが気づいたときには手遅れだって事になりかねませんよね。

担当者になってから、自分の意識や生活の中で変化したことはありますか?

知らず知らず染みついてきた習慣は恐ろしいですね。行動は変えられても、意識はなかなか変えられないでしょ。こんなことを人前で言っちゃいけないんですが、実は日常的なゴミの分別も妻任せだったりするんですよね。(笑)

フランスに行く前の日本はそれほど分別廃棄が進んでいなかったですし、ヨーロッパもフランス以南のラテン系は、あまりそういうことに対する意識がないんですよ。いえ、でも以前より環境に関してできることはしようと思うようになりました。

この時代に、日本に生きていることを幸運だと思いますか?

そうですね。(笑)日本は選択の幅が広い!フランスも良い国でしたが、あちらで暮らしの中での我慢が多々ありました。外食ひとつとっても、夜遅い時間にならないと店が開かなかったりしますから。

日本では欲しいものが欲しいときにすぐに手に入る。そういうのに慣れ親しんできていると、人間なかなか戻れないですよね。

仕事を通じて、社会に伝えたいことがあればお聞かせください。

心底、環境を考えて行動して欲しいということでしょうか。見せかけの行動は長続きしないですからね。

持続可能な社会は実現可能だと思いますか?

うーん、そうねぇ、持続可能な社会ね。努力をすれば、延命はできると思います。完全に持続可能には・・・、そうですね。技術の進歩により、環境の負荷を減らすことが可能になるかもしれないとは思います。技術開発には期待するものがありますね。環境問題も食糧問題も解決されるかもしれない。ちょっとわかんないけどね。

星とか大火山の爆発とか、人類が滅亡するまでのクライシスとかがない限り、技術力で対応できるのではないでしょうかね。例えばCO2を固定化する技術が実用化になれば、CO2を論議することすらなくなりますからね。これは実際に開発が進んでますよ。将来的には、持続可能な社会が当たり前になって、持続可能性という言葉がなくなる日がくるかもしれませんよ。いや、なかなか答えるのが難しい質問だな。

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